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【特集】ウィルグループ Research Memo(6):M&Aや海外現地法人設立など成長戦略の実行を着実に進める


■2016年3月期第2四半期のトピックス

ウィルグループ<6089>は、主力3事業を「シェア拡大」「エリア拡大」「事業領域の多角化」という3つの成長戦略によってさらに成長させていく一方で、新規事業の育成による成長の加速を図り、さらにプラスαの成長戦略として、新分野への事業拡大を掲げ、これら“3段ロケット”で長期の成長維持を目指している。2016年3月期第2四半期も、これらに関して、具体的な動きが見られた。以下にトピックスとしてまとめる。

(1) M&A

第2四半期から第3四半期にかけて、2件のM&Aと1件のマイナー出資を実施した。9月にクリエイティブバンク、11月にハイブリィド(株)を傘下に収めた他、11月にNOWALLの株式の一部を取得した。

クリエイティブバンクは主力事業であるセールスアウトソーシング事業の強化、ハイブリィドは学習領域における新規事業、NOWALLはネット人材紹介事業やIT技術者派遣事業とのシナジーが目的になる。以下に企業概要や買収の意図などを説明する。

a)クリエイティブバンク
クリエイティブバンクに関しては、買収直後からセールスアウトソーシング事業の収益に貢献しており、概要や買収の意図に関しては、セールスアウトソーシング事業の業績で説明したとおりである。そこで、同社の財務及び業績に関して、簡単に触れておく。

直近の2015年3月期の業績は、売上高が前期比22.7%増の2,786百万円、営業利益が同51.3%増の243百万円、経常利益が同51.9%増の244百万円、当期純利益が同63.6%増の154百万円であった。大手のクライアントを確保しており、業績は安定している。また、財務面では、総資産が1,143百万円、純資産が725百万円で、自己資本比率は63.5%となっており、健全である。

b)ハイブリィド
ハイブリィドは、中堅・中小事業を主な顧客に情報システム部門の総合支援サービスを展開している。ウィルグループでは、第三者割当増資を引き受け、発行済み株式の51.2%を所有することになった。取得金額は約1,450万円。中堅・中小企業は情報システムに関する責任者を確保することが難しい一方、マイナンバー制度の導入などによって情報管理の強化が早急に必要になっている。ウィルグループでは、ハイブリィドのコンサルティング技術を活用することによって、これら企業向けの情報管理者教育サービスへの進出を図る。

c) NOWALL
NOWALL(ノーウォール)は、ITエンジニアの教育事業を中心に展開している。ウィルグループでは、第三者割当増資を引き受ける形で株式を取得、発行済み株式の9.09%を所有することになった。取得金額は約2,000万円。ノーウォールが教育した人材に働き先を紹介するというスキームを描く。

(2)ミャンマー進出

シンガポールの海外事業統括会社である「WILL GROUP Asia Pacific Pte. Ltd.(WAP)」と同国の別の子会社の2社の出資で5月にミャンマーに「GJC Myanmar Ltd.」を設立した。資本金は5万米ドル(約610万円)。ウィルグループの若手社員が現地に赴任した。今後、外資の進出が本格化すると予想されるミャンマーで進出企業向けの人材ビジネスを行う。

(3)エリアの拡大

拠点数(海外拠点を含む)は、2016年3月期第2四半期末で前年同期末比13拠点増の57拠点となった。今後も、介護職派遣事業やファクトリーアウトソーシング事業を中心として、積極的な拠点展開を行っていく。

(4)コーポレートベンチャーキャピタルが投資を開始

2015年6月に設立したコーポレートベンチャーキャピタル「ウィルグループインキュベートファンド」が、3件の投資を行った。東南アジアに旅行する日本人向けに旅先の現地の人々と交流できるマッチングサイトを運営する(株)Travee(トラビー)、窓やドアからの不信者の侵入を検知し、スマートフォンに通知するホームセキュリティサービスを展開する(株)Secual(セキュアル)、アマチュアゴルファー向けにオンラインでレッスンプロのレッスンが受けられるマッチングサービスを提供するAnotherShotGolf(株)(アナザーショットゴルフ:ASG)である。

また、ベンチャーキャピタルと並んで、新分野の事業発掘を行う場として、社員全員が参加できる新規ビジネスの提案大会「ビジネスモデルグランプリ(BMG)」があるが、今期も「Business Contest YOAKE 2015(ビジネスコンテスト・ヨアケ 2015)」の名称で開催されており、12月15日には決勝戦が行われ、新たな新分野ビジネスが決まる。

(5)貸借銘柄への選定
11月2日から東証1部の貸借銘柄に選定された。同社は流動性の向上に力を入れており、選定はこれを促進すると考えられる。

(6)派遣法改正の影響

労働者派遣法の改正に関しては、事業運営の面では、それほど大きな影響はないと考えていいだろう。2015年3月期に子会社2社が優良派遣事業者認定を受けたことから、同社の優位性が認知されると推察されよう。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 柄澤 邦光)

《HN》

 提供:フィスコ

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