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【特集】ウィルグループ Research Memo(2):第2四半期は上半期ベースで過去最高業績を更新


■2016年3月期第2四半期連結決算

(1)概要

ウィルグループ<6089>の2016年3月期第2四半期連結決算は、売上高が前年同期比30.8%増の19,860百万円、営業利益が同83.4%増の614百万円、経常利益が同80.3%増の616百万円、当期純利益が同38.3%増の262百万円となった。上半期ベースでの増収・増益は6期連続、売上高、利益とも創業以来の過去最高を更新した。期初計画比では、売上高が2.3%、営業利益が71.1%、経常利益が71.6%、当期純利益が44.0%それぞれ上振れした。

売上高では、商品販売のスタッフ派遣及び業務請負を行う「セールスアウトソーシング事業」、コールセンターのオペレーター派遣及びコールセンター業務の請負をする「コールセンターアウトソーシング事業」、製造業における工場等の軽作業の業務スタッフの派遣と業務請負を行う「ファクトリーアウトソーシング事業」の3つの主要セグメントがいずれも2ケタの増収となった。また、新規事業群である「その他の事業」は売上高が倍増した。

後のセグメントごとの分析でさらに説明するが、主要3セグメントに関しては、業務請負の急拡大や同社のビジネスモデルの大きな特長である「ハイブリッド派遣」の着実な増加に加え、官公庁向け人材サービスなど新領域への進出により、新たな分野への進出とシェア拡大の両方が着実に進んだ。さらに、M&Aによる売上増なども売上高の増加に寄与した。その他事業は、9事業分野のすべてが前年同期比で増収となった。特に介護職派遣の売上が大幅に拡大した点や、2014年8月に買収したシンガポールの人材紹介会社、Scientec Consulting Pte. Ltd.(以下、STC)が通期で売上に貢献するようになったことが増収の大きな要因となっている。

人材が資本である同社にとっては、事業拡大とともに人材も増える。2016年3月期第2四半期末の従業員数は前期末比180人増の851人となった。また、「ハイブリッド派遣」の中核的な要員となるフィールドサポーターは同79人増の264人となった。春の新卒は84名と、ほぼ予定どおりの人員を確保し、中途採用などでも72名を採用、さらに9月に傘下に収めたクリエイティブバンクの従業員24名も加わった。

一方、営業利益に関しては、売上高と同様、3つの主要セグメントがすべて前年同期比で2ケタ増となった。また、その他の事業が上半期として初めて黒字化した点も見逃せないと言えよう。主要3セグメントに関しては、売上高の増加に伴う増益のほか、派遣よりもより利益率の高い業務請負が拡大した点も貢献した。同社は一般派遣及びハイブリッド派遣から業務請負への受注転換をクライアントに促す戦略を進めており、着実に進展していることが裏付けられた。また、一方で、業務請負よりもさらに高い利益率が期待できる人材紹介にも力を入れており、売上高は617百万円とまだ大きくはないものの、伸び率は前年同期比49.4%増と非常に高く、増益に貢献した。

業態別の売上高を見ると、業務請負拡大の戦略が進展していることが良く分かる。業務請負の売上高は前年同期比32.8%増の5,415百万円にまで拡大した。一方、同社にとっては業務請負の“予備軍”とも言える人材派遣は、ハイブリッド派遣が同9.6%増の6,402百万円、一般派遣が同46.0%増の6,979百万円となった。ハイブリッド派遣の伸び率が1ケタ台なのは、ハイブリッド派遣から業務請負に契約形態の変更が進んでいるためである。また、一般派遣の大幅な拡大は、上述の売上高でも触れたが、新領域への事業拡大が順調に進んでいるためであり、将来的にハイブリッド派遣に移行し、さらに業務請負契約に至る高い可能性を秘めている。なお、新領域への事業拡大に関しては、セグメント別の業績で具体的な内容を説明する。

当期純利益は、投資有価証券を減損したため、営業利益・経常利益よりも伸び率が圧縮された。また、M&Aに伴いのれんの償却などで会計上の利益が減少することから、同社はEBITDAを経営の実態が分かる参考指標として公表しているが、2016年3月期第2四半期は前年同期比87.4%増の722百万円となった。

以上の結果、売上高営業利益率は前年同期比0.9ポイント増の3.1%と上昇した。特殊技能や免許を必要としない分野の派遣会社の営業利益率は1~2%程度が一般的であることから、それと比較すれば、極めて高い水準を確保していると言える。

さらに、同社が投資家に表明している「中期的に売上高と利益の両面で前期比2ケタ増を続ける」という目標が引き続き守られた点も評価に値すると言えよう。

以上が業績の概要であるが、以下にセグメント別の業績について説明する。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 柄澤 邦光)

《HN》

 提供:フィスコ

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