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【特集】ウィルグループ Research Memo(1):第2四半期は大幅な増収増益、業務請負拡大の戦略が進展


人材派遣・業務請負を展開するウィルグループ<6089>は、11月5日、2016年3月期の第2四半期連結決算を発表した。売上高、利益ともに前年同期比で大幅な成長を達成し、上半期ベースでは6期連続で過去最高を更新した。

携帯電話などの商品販売(セールスアウトソーシング事業)、コールセンター運営(コールセンターアウトソーシング事業)、食品など工場の軽作業(ファクトリーアウトソーシング事業)の人材派遣・業務請負を行う主力3事業のすべてが大幅な増収・増益となった。さらに、新規事業に当たるその他の事業も第2四半期としては初めて黒字転換した。

好調な業績を達成できた理由は、主力3事業では「ハイブリッド派遣」という特有の派遣方式による独自のビジネスモデルをもとに「シェア拡大」「エリア拡大」「事業領域の多角化」という3つの成長戦略が着実に進展しているためである。営業利益と経常利益は伸び率が80%を越えたが、これは、これら成長戦略により利益率のより高い業務請負が拡大したことが大きな要因となっている。同社は一般派遣及びハイブリッド派遣から業務請負への受注転換をクライアントに促しており、着実に進展していることが裏付けられた。

一方、今後の更なる成長を担う「その他の事業」は、複数の国内新規事業と海外事業で構成されるが、国内では介護職派遣が拠点拡大により大幅な増収となった他、利益率の高いネット人材紹介が利益拡大に貢献、他の事業もすべて黒字転換もしくは赤字幅が縮小した。海外では2014年8月に買収したシンガポールの人材紹介会社が通期業績への貢献を始めた。

さらに、これら成長戦略プラスαの戦略も進展している。社内のビジネスコンテスト「Business Contest YOAKE 2015(ビジネスコンテスト・ヨアケ 2015)」を今年も開催し、12月15日には決勝戦が行われ、新たな新分野のビジネスが決まる。さらに、6月に設立したコーポレートベンチャーキャピタルは既に3件の投資を実施し、外部の優れたビジネスの発掘もスピーディに進んでいる。

加えて、主力3事業、その他の事業にまたがってM&Aを実施、大手IT企業をクライアントとするプロモーションサービス会社の(株)クリエイティブバンクを始め、2社を傘下に収めた他、1社に対してマイナー出資を実施した。

2016年3月期は期初予想に変更はなかったが、第2四半期の結果から、後に上方修正される可能性も十分にあると考えられる。好調な業績を背景に投資家からの注目度も上がっている。2016年3月期の決算発表に合わせて2017年3月期を初年度とする中期経営計画が発表される方向で策定が進められており、今後、投資家の注目が益々集まりそうである。

■Check Point
・主力のセールスアウトソーシング事業が好調、その他事業も売上高倍増
・M&Aや海外現地法人設立など成長戦略の実行を着実に進める
・通期業績は増収増益の期初予想を据え置くが上方修正の可能性も十分

(執筆:フィスコ客員アナリスト 柄澤 邦光)

《HN》

 提供:フィスコ

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