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【特集】山内俊哉氏 【米利上げ後の市場を読む】 (1) <相場観特集>

山内俊哉氏(上田ハーロー 外貨保証金事業部長)

 米連邦公開市場委員会(FOMC)で、約9年半ぶりとなる利上げが決定した。これまでの利上げ時期を巡る不安感が払拭されたことや、米連邦準備制度理事会(FRB)が声明文で、今後の利上げを慎重に実施すると表明したことをひとまず世界の株式市場は好感した。そこで、米国の利上げスタートを受けて外国為替相場はどう動くのか、今後の見通しを上田ハーロー 外貨保証金事業部長の山内俊哉氏に聞いた。

●「年初に向けドル高進行も」

山内俊哉氏(上田ハーロー 外貨保証金事業部長)

 米連邦公開市場委員会(FOMC)では市場の予想通り、9年半ぶりに政策金利が引き上げられた。声明文では「利上げはスローペース」とされているが、FOMC委員によるFF金利予想を分布図で示すドット・チャートでは、年4回の利上げが想定されている。

 今後は利上げのタイミングを図りながらドル買いの材料を探す状況が予想される。雇用統計が堅調なら、新年1月の利上げもあり得る。その後は3月、6月、9月頃の実施が予想される。

 ただ、ISM製造業景気指数などの米景気指標に弱めの数値が出ている。利上げも当面は米国景気の良さと受け止められそうだが、株式市場からの反応は徐々に利上げペースが速いとの見方に変わる可能性もある。結果として年4回の利上げはできないこともあり得る。

 また、18日の日銀金融政策決定会合では「新たなETFの買い入れ枠設定」などの発表があったが、現状に対応するための措置で日銀の政策に大きな変化があったわけではない。

 こうしたなか、今後1ヵ月程度のドル円相場のレンジは、1ドル=118円10~125円30銭を見込む。基調はドル高で、1月発表の雇用統計が好調なら125円乗せの展開も予想される。

 ユーロは、米国との金融政策の方向性の違いが意識され、下げ基調だろう。想定レンジは対ドルで1ユーロ=129円60~136円90銭。対円では、1ユーロ=1.057~1.118ドル。

 12月の欧州中央銀行(ECB)理事会では、追加緩和が実施されたがユーロ高が進行した。ただ、ドラギECB総裁などからユーロ高のけん制発言も予想されるだけに、ユーロ安基調は変わらないだろう。

(聞き手・岡里英幸)

<プロフィール>
1985年 商品先物会社入社。コンプライアンス、企画・調査などを経て1998年4月の「外為法」改正をうけ外国為替証拠金取引の立ち上げを行う。2005年7月 上田ハーロー入社。前職の経験を生かし、個人投資家の視点でブログなどへ各種情報の発信やセミナー講師に従事。日経CNBC「朝エクスプレス」為替電話レポートに出演のほか、金融情報サイトなどへの情報提供などでも活躍している。

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