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【特集】アンジェス MG Research Memo(5):適時適切な資金調達を実施していく意向


■業績動向

(3)財務状況

アンジェス MG<4563>の2015年9月末の財務状況を見ると、総資産は前期末比2,013百万円減少の6,169百万円となった。第三者割当増資の実施に伴い735百万円を調達したが、当期事業費用への充当に伴い、現預金が同2,638百万円減少した。また、NF-κBデコイオリゴの原薬製造にかかる費用や臨床試験にかかる費用を前払いしたことに伴い、前渡金が同554百万円増加したほか、HGF遺伝子治療薬の製造に伴い、原材料が380百万円増加した。

一方、負債合計は前期末比267百万円増加の717百万円となった。「ナグラザイム」の仕入れやHGF遺伝子治療薬の原薬にかかる費用等で買掛金が同253百万円増加したことが主因。また、純資産は前期末比2,281百万円減少の5,452百万円となった。第三者割当増資に伴い、資本金、資本剰余金が各367百万円増加したが、当四半期純損失3,007百万円の計上により利益剰余金が減少した。

前述したとおり、同社は現在、研究・開発ステージにあり、開発パイプラインでの新たな販売契約締結に伴う一時金などの収入がない限りは、研究開発負担に伴い四半期ベースで10億円強程度の損失が続くものとみられる。9月末で現預金が3,378百万円であり、このままの状況で推移したとすれば2016年中に資金が底をつくことになり、経営リスクが顕在化することとなる。こうした事態に備えるため、同社では今後も株式市場やマーケット状況を勘案のうえ、時期や手法を含めて適時適切な資金調達を実施していく意向を示している。

なお、同社は9月に国内外の機関投資家向けを対象とした新株式発行及び株式売出し(約30億円を調達)を発表したが、2週間後には中止を決定している。機関投資家との対話の中で、開発プロジェクトがさらに進展した段階(製造販売承認申請など)で投資を行いたいとの意見が多く出たことが主な理由だ。2016年には国内で3つの開発プロジェクトで製造販売承認申請が見込まれているため、その状況もにらみながら資金調達を検討していくことになりそうだ。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)

《HN》

 提供:フィスコ

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