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【特集】ユニリタ Research Memo(4):16/3期上期は微増収ながら大幅な増益


■決算動向

ユニリタ<3800>の2016年3月期上期の業績は、売上高が前年同期比1.0%増の3,438百万円、営業利益が同23.5%増の646百万円、経常利益が同20.9%増の737百万円、純利益が同35.4%増の620百万円と微増収ながら大幅な増益となった。ただ、期初予想に対しては、売上高、利益ともに下回る進捗であった。

売上高では、システム運用事業や子会社によるその他事業が拡大したものの、主力のメインフレーム事業及びデータ活用事業が減少したことにより微増収にとどまった。メインフレーム事業の縮小は想定の範囲内であったが、新規・成長事業分野の立ち上げやデータ活用事業における製品販売の遅れ、システム運用事業の技術支援の伸び悩みが計画に対する未達要因となった。

損益面では、利益率の高いメインフレーム事業の縮小などにより売上総利益率が低下したものの、データ活用事業やシステム運用事業における損益改善に加えて、コストシナジーの発現(オフィスやシステムの統合など)による販管費の削減から営業利益率は18.8%(前年同期は15.4%)に大きく上昇した。

財務面でも、総資産がわずかな伸びにとどまる一方で、自己資本がビーコンITの吸収合併による影響や内部留保の積み上げにより大きく増加したことから自己資本比率は78.1%(前期末は65.8%)と高いレベルでさらに上昇した。

事業別の業績は以下のとおりである。

データ活用事業は、売上高が前年同期比4.5%減の1,079百万円、セグメント損失が7百万円(前年同期は84百万円の損失)と減収ながら損失幅の縮小となった。新規・成長事業分野であるセキュリティ対策、ビッグデータ活用、クラウド活用の3領域への先行投資を進めたが、これらの製品の市場投入が若干遅れたことや、既存事業でも製品販売の出遅れから計画を下回る減収となった。一方、利益面では、不採算案件の見直しなどにより大幅な損益改善を図った。

システム運用事業は、売上高が前年同期比16.5%増の1,042百万円、セグメント損失が182百万円(前年同期は320百万円の損失)と増収及び損失幅の縮小となった。主力の運用自動化分野において、既存顧客からのリピート受注や帳票分野におけるマイナンバー対応案件、メインフレーム環境からオープン環境への移行案件等、大型案件の受注が増加したことで製品販売が大きく伸びた。ただ、運用代行の新たなストックビジネスの構築を目指しているアウトソーシング(技術支援)は進捗の遅れから計画を下回った。利益面では、収益性の高い製品販売が伸びたことから大幅な損益改善となった。

メインフレーム事業は、売上高が前年同期比8.1%減の1,023百万円、セグメント利益が同9.9%減の777百万円と減収減益となった。オープン化やダウンサイジング化の潮流を受けて縮小したものの、売上高、利益ともに想定の範囲内であった。

その他事業は、売上高が前年同期比9.5%増の292百万円、セグメント利益が同10.1%減の58百万円となった。人材派遣市場向けの提供ソリューションの拡張(システムのオプション開発など)やWeb広告の新手法の活用のほか、BCP(事業継続対策)における新サービスの販売開始など、各子会社における事業拡大が増収に寄与したが、先行費用の積極投入により減益となった。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田 郁夫)

《RT》

 提供:フィスコ

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