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【特集】日本トリム Research Memo(3):医療関連事業は足元減収だが、第2の柱として中長期的に育成の方針


■2016年3月期第2四半期連結決算

医療関連事業
医療関連事業は、臍帯血バンクの「再生医療関連事業」を行っている(株)ステムセル研究所と、米国で「遺伝子関連事業」を展開しているトリムジン コーポレーションがあり、日本トリム<6788>の子会社である持株会社(株)トリムメディカル ホールディングスがそれらを傘下に統括している。そのほかに血液透析用の透析液の希釈水を作る機器販売がメインの電解水透析事業を実施する(株)トリムメディカルインスティテュートがある。医療関連事業の売上高は、前年同期比6.3%減の405百万円となった。

3事業別の売上高は、再生医療関連事業は前年同期比12.9%増の380百万円、電解水透析及びMG0測定事業は売上高0.4百万円(前年同期は2百万円)、遺伝子関連事業は同73.1%減の25百万円となった。

再生医療関連事業は、新規の契約をコンスタントに獲得している。第2四半期末には、臍帯血の採取実績病院数が1,611施設、保管契約数の合計が9月末時点で3万5,736件になった。営業力の強化に取り組んだのが主な要因である。今後の更なる成長に向け、営業人員の採用により、営業エリアの拡大も推進していく。

また、日本における年間の新生児数に対する臍帯血の保管割合は0.3%と、韓国の12%、台湾の約5%、米国の約7%に比べて極端に低い。その一方で、再生医療関連法の制定によって臍帯血を使った臨床試験がいよいよ本格的に実施されると期待できることから、臍帯血バンクの需要は着実に増加すると予想されている。同社の臍帯血バンクを運営するステムセル研究所は、国内最大の民間バンクであることから、同事業の収益は、今後も順調に拡大していくと見られる。

遺伝子関連事業も、検査時間の短縮と複数の遺伝子検査ができる次世代型の検査機器向けの診断キットの基本的技術開発を経て、製品化に取り組んでいる。

電解水透析事業は、透析に使う電解水の製造装置と、糖尿病患者の将来の高血圧や動脈硬化のリスクの指標として期待されている血液中のMGO値を測定するMGO測定の2事業で構成されているが、現在のメインは電解水透析システム販売である。後のトピックスで詳しく触れるが、同装置に関しては高機能次世代機を開発し、国内5病院で本年末から順次モニター導入されることになっている。

医療関連事業は、同社が掲げる経営目標である「家庭用医療機器メーカーからメディカルカンパニーへ」を実現するためにウォーターヘルスケア事業に並ぶ第2の柱と位置付けられている。このため、中長期的な視点から事業育成を行っていく方針になっている。また、事業全体の売上高も同社全体の売上高の5.5%を占める程度であることからも、足元における収益の増減だけにこだわり過ぎるのは、適当ではない。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 柄澤 邦光)

《HN》

 提供:フィスコ

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