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【経済】NYの視点:利上げが確実視されるFOMCを控え、新興市場が混迷へ


米連邦準備制度理事会(FRB)による年内の利上げが確実視される中、新興市場が混迷している。新興諸国は米国の利上げにより資本流出が懸念されるほか、原油安、中国の景気鈍化が影響し国内経済の低迷や財政の悪化が警戒されている。

一部の新興諸国では政局不安も広がっている。南アフリカのズマ大統領は9日、就任からわずか19カ月のネネ財務相を解任。格付け会社フィッチレーティングは4日、同国の格付けを従来の「BBB」から「BBBマイナス」と、ジャンク(投資不適格)級から1段階上の格付けに引き下げたばかり。米格付け会社スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)も同日、同国の格付け見通しをネガティブに引き下げ、2年以内にジャンク級に引き下げる可能性を示唆した。

すでに拡大している債務や景気低迷に警戒していた投資家は、膨らむ債務の抑制を目指していたネネ財務相の解任にさらにショックを受けた。一段の格下げ懸念も強まった。同国の10年債利回りは金融危機の真っただ中にあった2008年7月以来の10%台まで一時上昇。クレジットデフォルトスワップも5年物は2009年3月以来で最大に拡大した。南アフリカランドも対ドルで過去最安値を更新した。

ブラジルもしかり。財政健全化を最優先課題とした政策を推進しているレビィ財務相の辞任の噂が絶えない。財政が悪化する中、経済は景気後退が一段と深刻化しているほか、インフレも高止まりしている。加えて、国営石油公社ペトロブロスの汚職絡みの政局不安も浮上。米格付け会社スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)は同国の格付けを投資不適格級(ジャンク)に引き下げた。さらに、議会でルセフ大統領弾劾の動きが高まる中、米信用格付け大手ムーディーズ・インベスターズ・サービスも2016年に情勢が改善する見込みはないとして、ジャンク級に格下げする方向で見直しする方針を示した。

米国の利上げはいずれ起こることとして、新興諸国の高官は金融市場での「対応の準備はできている」としていた。しかし、利上げを受けて、直接的ではないものの市場の変動率(ボラティリティ)が上昇することは避けられないようだ。

《NO》

 提供:フィスコ

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