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【特集】エレマテック Research Memo(6):従来予想引き上げ16/3期は増収増益を見込む


■業績動向

(2) 2016年3月期通期見通し

2016年3月期通期についてエレマテック<2715>では従来予想を引き上げ、売上高240,000百万円(前期比32.0%増)、営業利益8,100百万円(同9.8%増)、経常利益8,250百万円(同16.6%増)、当期純利益6,000百万円(同17.5%増)を予想している。前述のように売上高の240,000百万円という値は現中期経営計画における2018年3月期の目標値と重なるが、今期は子会社の連結決算期変更によって約117億円かさ上げされていることに留意すべきだ。

同社は期初の時点で第2四半期予想を公表していないため、第2四半期決算を終えて下期についての見方がどのように変化したかを推測するのが難しい。同社では決算説明会において「下期については当初の見方から大きくは変わっていない。通期の上方修正分は主として上期の上振れ分によるもの」としつつも、下期の当初計画から売上高で150億円、営業利益で約1億円上方修正したとコメントした。

下期の売上高上方修正幅の約半分はBMのようだ。第2四半期に予想外に動いた産業機器等向け売上の好調が下期も持続すると期待されている。具体的中身は第2四半期同様、スマートフォン向けモータ用の部材がけん引役と期待されている。残りの約半分はDEと考えられる。こちらもスマートフォンがけん引役という構図に変わりはなく、目下のところは第2四半期までの需要の強さから変化は見られていないもようだ。Autoは通期ベースで見た場合、期初の18,700百万円から18,257百万円へと下方修正のような形となっているが、これは数値を精査した結果の微調整に過ぎず懸念の必要はない。

弊社では、2016年3月期通期業績が達成される可能性は高いと考えている。同社の取扱製品は幅広いが、最終需要先としてはスマートフォンやタブレットなどモバイル機器の構成比が非常に高くなっている。スマートフォンの国内普及率は急上昇中であるがまだ64.2%にとどまっており、携帯電話・PHSの94.6%に差がある(総務省「平成26年通信利用動向調査」による)。人気メーカーのモデルチェンジの影響もあって、今期を通じて同社の取扱商材に対する需要は強い基調が続くと弊社では考えている。アミューズメントは昨年度の収益成長が一過性のものであり、今期に落ち込みが予想されるということは想定どおりであり、これも懸念材料ではない。プロダクトミクスの悪化で売上総利益率の低下は避けられないが、販管費のコントロールが行き届いており、期初の売上高が確保されれば利益もまた目標を達成できると考えている。

なお、2016年3月期の収益が子会社の連結期間の変更でかさ上げされているにせよ、同社が現中期経営計画において2018年3月期の売上高計画として掲げている数値(240,000百万円)と肩を並べているというのは興味深い。Digital ElectronicsとBroad Marketの2部門はすでに今期で2018年3月期計画を上回る予想となっている。Automotiveは自動車業界の特性からモデルチェンジを機にビジネスチャンスが拡大する傾向にあるため、2018年3月期からの本格拡大が期待されている。2016年5月の新ローリング中計発表を興味と期待感を持って見守りたい。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 浅川 裕之)

《HN》

 提供:フィスコ

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