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【特集】エレマテック Research Memo(4):自社の加工拠点を有し、加工サービスを行っている


■2016年3月第2四半期決算のインプリケーション

b)成長市場への柔軟な対応力
安定成長構造確立のもう1つの重要なカギは、その時々の成長市場の変化に柔軟に対応し、「波に乗る」ことができてきたことがある。6、7年前のエレマテック<2715>の販売先上位の業種は家電、OA機器、重電、ガス・石油製品などの分野であった。しかし現在では、広義の意味でのスマートフォン関連の売上高が同社の売上高の約半分を占めるに至っており、取引金額上位の企業の顔ぶれも大きく変化している。かつての主力であった家電、OA機器、重電、ガス・石油製品などを維持しながら、スマートフォン関連売上高を上乗せできたことがここ数年の売上急拡大につながっている。

その要因は、突き詰めると上記の取引先の多様性・分散に行き着くのではないかと考えている。厳密には鶏と卵の関係のように、因果関係を明確には断じることはできないが、要は、同社の営業担当者が、多数の取引先と関係する中で、常に次の商材を探し求める姿勢を貫いているということだ。取引先が多いのでそうした次代の技術や市場に関する情報も得やすく、それらを欲する取引先も見つけやすく、それが実取引につながるという好循環が続いているという構図だ。

同社に対する懸念として、スマートフォンへの依存度の高まりを挙げる向きがあるかもしれない。この点について、スマートフォン依存度の高さは懸念する必要はないというのが弊社の考えだ。スマートフォン市場は依然として成長余地を残していることと、前述のように、時々の成長市場の変化に柔軟に対応し成長を続けてきた同社の実績が将来の変化にも生かされると確信していることがその理由だ。むしろスマートフォン依存度の高さは、当面は同社にとって(懸念要因ではなく)成長要因であり続けると考えている。

c)メーカー的機能による企画開発・加工サービスの提供
さらに見逃せないのが企画開発と加工サービスだ。同社は商社であり、ファブレスに近い企業だ。取引先との無用な競合や利益相反を避けるうえでも、この点は一貫している。しかし一方で、同社は自社の加工拠点を有し、加工サービスを行っている。同社は電子材料の専門商社としてスタートしたため、最適な電子材料の発掘には定評があるが、同社の顧客は、それが大手であればあるほど、アッセンブラー(組立業者)としての色合いが強まる傾向がある。そうしたアッセンブラーは、自社の組み立てラインでの工数を極力減らすために、個々の部品を単品で購入するのではなく、ある程度まで加工が進んだモジュール部品としての購入を嗜好する。同社の加工サービスは、これに対応するものだ。

モジュール化は同社にとっては非常にうまみが大きい。部品点数が増えるため取引金額が大きくなるだけでなく、モジュール化による付加価値を自社の利益として取り込める。また、部材単品取引に比べてモジュール部品取引は、顧客囲い込みの点でも有利と言える。モジュール化による納品は間に立つ商社は誰しも目指すところだが、それを実行できている企業は決して多くはない。部品の選定・調達能力及び加工能力は言うまでもないが、モジュール部品ついての製品保証能力も必要となる。企業の総合力が問われることになる。同社にはそれがある。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 浅川 裕之)

《HN》

 提供:フィスコ

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