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【特集】【中国の視点】サウジ:ドルペッグ制を解除か、歳入不足や原油の先安感で


石油輸出国機構(OPEC)が減産を見送ったことを受け、原油価格の先安感が強まっている。また、中国経済の減速を受け、原油を含めたコモディティ(商品)価格が一段と下落すると警戒されている。なお、原油価格は8日、約7年ぶりの安値を更新。ブルームバーグ・コモディティ・インデックスは7日、約16年ぶりの低水準を記録した。

原油輸出が全体の90%を占めているサウジアラビアは歳入不足に悩ませている。適切な措置を取らなければ、これまでの充実な福祉を維持できなくなると警告されている。2015年の同国の財政予算は2290億米ドルに膨らみ、うち20%は財政赤字「国際通貨基金(IMF)の試算」になるという。また、同国の外貨準備高も昨年8月の7460億米ドルから6545億米ドルまで低下していると報告された。

海外メディアによると、サウジは今年8月から毎月53億米ドルのソブリン債を売却し、財政支出に充当しているという。ただ、原油価格が一段と下落すれば、サウジが減産に踏み切るあるいは通貨サウジアラビア・リヤル(SAR)と米ドルのペッグ制の解除を選択する可能性があるとみられている。米ドルの先高感が強まっていることが背景にある。

ただ、多くのエコノミストは、サウジが短期間以内にドルペッグ制を解除する可能性が低いとみている。サウジの外貨準備高がまた潤沢である上、同国が財政赤字をしばらく継続させる可能性があると予測している。

中国の専門家は、サウジ国内では25%の貧困人口が政府の給付金で暮らしているため、ドルペッグ制が解除された場合、SARの急落を引き起こす恐れがあるとの見方を示した。これが原油価格を一段と低下させる可能性があるほか、国内の財政を一段と圧迫する恐れがあると警告した。
《ZN》

 提供:フィスコ

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