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【特集】ジェイテック Research Memo(1):インバウンド消費への対応商品として「グルくる」を発表


製造業向けの技術開発や製品設計などを行う高度技術者(テクノロジスト)の派遣及び業務請負業のジェイテック<2479>は、2015年11月4日、2016年3月期の第2四半期連結決算を発表した。前年同期に比べて売上高は微減となったが、単価の値上げが浸透し、損益面では前年同期の損失計上から利益計上に転換した。しかし、景況感の回復に伴う人材不足の影響でテクノロジストの確保に苦戦し、案件は十分にあるものの、対応しきれないというジレンマに陥っている。

一方、こういった困難な状況を克服し、安定した収益を確保できるようにするための方策も続々と打ち出した。第1は、新規事業である。具体的には社内の技術者を使い、独自商品の開発・販売をスタートした。第1弾として、3月に飲食店向け注文支援システム「グルくる」を発表した。設備投資がほとんど必要なく、メニュー表示はオプションで13か国語で対応できるため、インバウンド消費への対応商品としてリリース直後から市場で注目され、大きな収益を生み出す可能性を秘めている。

第2は、事業のすそ野の拡大と、人材層の拡充である。人材派遣、アウトソーシングやWebマーケティングなど、総合的な企業支援サービスを行っている(株)ベンチャー総研(本社:東京都千代田区、代表取締役 林誠一郎(はやしせいいちろう)氏)とグループのベンチャービジネスサポート(株) (本社:東京都中央区、代表取締役 田村岩四朗(たむらいわしろう)氏)から一般派遣事業であるヒューマンリソース事業とポスティング事業の一部を買収し、既存事業とコラボレーションさせ、新領域のビジネスにも乗り出した。これらは子会社が雇用するエンジニアと一般派遣社員の仕事の領域を広げる意味があり、これに伴い、同社ではこれら人材層の拡充も行う。テクノロジスト、エンジニア、一般派遣の「3層構造」とし、より幅広い人材ニーズに柔軟に対応できるようにする。また、高齢の社員の受け皿として終身雇用に活用する。

第3は、テクノロジストの確保である。従来の大学の新卒採用では、工学系の学部を持つ数十校に求人票を送るのにとどまっていたが、今秋からは工学系の学部を持つ全大学にまで広げた。さらに、グループ企業との連携も密にし、採用後は個人の適性・希望に応じてグループ間で移籍できる柔軟な人事制度を導入した。グループの連携強化の象徴として既存の2子会社の社名も「ジェイテック」の名前を冠する形に変更した。社名変更と人材の交流は事業運営においてもグループの一体化を進めるという意図が込められている。

足元においては厳しい経営環境となっているものの、創業者である代表取締役社長 藤本彰(ふじもとあきら)氏は、技術者派遣業界で40年以上の経験を持ち、今回のような景気回復局面での人材確保難による困難な状況を何度も乗り越えてきた。財務も健全な状況であることから、同社が危機を迎えているわけではない。むしろ、この度着手した様々な対策によって同社の業績が急回復する可能性に期待がかかる。今後は、藤本社長の長年の経験に基づく経営手腕に注目が集まると言えよう。

■Check Point
・16/3期2Qは減収となるも、利益を確保
・自己資本比率は上昇、良好な水準を保つ
・通期業績は増収、利益は大幅な増益を見込む

(執筆:フィスコ客員アナリスト 柄澤 邦光)

《HN》

 提供:フィスコ

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