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【経済】NYの視点:米11月雇用統計で12月の利上げの可能性を探る


米11月の雇用統計の結果は、12月連邦公開市場委員会(FOMC)の利上げの可能性を見極める上で鍵を握る。米国の民間企業の雇用動向を示すADP雇用統計の11月分の増加幅は前月比21.7万人増と、減少予想に反して10月の19.6万人増から伸びが拡大。増加数は予想外に6月以来の20万人台を回復した。10月分も18.2万人増から19.6万人増へ上方修正された。同指数は米労働省が発表する雇用統計と最も相関関係が強い先行指数として知られており、米11月の雇用統計が年内の利上げを後押しする結果になるとの思惑が強まった。

製造業の雇用も底堅い。全米の製造業業況を示すISM(米供給管理協会)が発表した11月ISM製造業の景況指数は景気後退時以来の低水準にとどまったが、雇用は51.3と、活動の拡大と縮小の境目となる50を回復、4月来の高水準となった。7-9月期の単位労働コスト改定値も前期比年率1.8%上昇と、予想外に速報値の1.4%上昇から上方修正され、賃金も上昇の兆しを見せている。

多くのFOMCメンバーが労働市場は完全雇用に達したか、あるいは一段と近づいたとの見方。2015年度の投票権を有するアトランタ連銀のロックハート総裁は、利上げの条件となっていた「労働市場進展の条件は達成した」「労働市場は一段と改善した可能性がある」との見解で、「指標が劇的に変化しない限り、利上げの論拠が強い」と述べた。連邦準備制度理事会(FRB)のイエレン議長も「労働市場の改善は、インフレへの自信を高めた」としたほか、経済は「FRBの雇用やインフレの目標に近づいた」との見解を明らかにしている。

市場は失業率が2008年来の低水準である5.0%を維持、非農業部門雇用者数は前月比20万人増と、10月の27.1万人増から伸びが鈍化するものの20万人を維持すると見ている。金利先物市場での12月の利上げ確率は現状で、10月雇用統計発表後の58%から72%まで上昇した。

■10月雇用統計の先行指標

・ADP雇用統計:前月比+21.7万人(予想:+19.0万人、10月:+19.6万人←+18.2万人)

・米・ISM製造業景況指数雇用:51.3(10月47.6)4月来の高水準

・NY連銀製造業景況指数
【現状】
雇用:-7.27(10月-8.49、6か月平均-1.38)
週平均就業時間:-14.55(10月-7.55、6か月平均-4.35)
【6ヶ月先予想】
雇用:16.36(10月10.38、6か月平均10.11)
週平均就業時間:5.45(10月0.94、6か月平均-0.71)

・フィラデルフィア連銀製造業景況指数
【現状】
雇用:2.6(10月-1.7、6か月平均3.3)
週平均就業時間:-16.2(10月-7.3、6か月平均0.1)
【6ヶ月先予想】
雇用:28.2(10月14.0、6か月平均21.0)
週平均就業時間:16.6(10月0.5、6か月平均10.4)

・リッチモンド連銀製造業景況指数
【現状】
雇用:0(10月3)
週平均就業時間:-3(10月-5)
賃金::6(10月17)
【6ヶ月先予想】
雇用:11(10月19)
週平均就業時間:12(10月12)
賃金:22(10月37)

・消費者信頼感指数
【雇用:現状】
十分:19.9(10月22.7)
不十分:53.9(10月52.7)
困難:26.2(10月24.6)
【雇用:6ヶ月先予想】
雇用(6か月先予想)
増加:11.6(10月14.4)
減少:18.7(10月16.6)
不変:69.7(10月69.0)

・失業保険申請件数

     申請件数 前週比 4週平均 継続受給者数
11/21/15 260,000 -12,000 271,000 n/a
11/14/15 272,000 -4,000 271,000 2,207,000
11/07/15 276,000   0 267,750 2,173,000
10/31/15 276,000 16,000 262,750 2,177,000
10/24/15 260,000  1,000 259,250 2,170,000
10/17/15 259,000  3,000 263,250 2,146,000
10/10/15 256,000 -6,000 265,250 2,172,000
10/03/15 262,000 -14,000 267,250 2,165,000

■市場予想
失業率:5.0%(10月:5.0%)
非農業部門雇用者数:前月比+20万人(10月+27.1万人)
民間部門雇用者数:前月比+19万人(10月+26.8万人)

《FA》

 提供:フィスコ

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