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【特集】博展 Research Memo(8):中計では売上高109億円、営業利益4億円を目指す


■中期経営計画

博展<2173>は2018年3月期を最終年度とする中期経営計画を推進している。新規事業の伸びが同社の中期的な成長をけん引する戦略であり、2018年3月期の目標として、売上高10,900百万円(平均成長率20.6%)、営業利益400百万円(同86.5%)と年率2 ケタの成長とともに、営業利益率も3.7%へと着実な改善を目指している。

「Be a PARTNER of EXPERIENCE MARKETING」(経験価値提供型マーケティング・パートナーになる)という中期ビジョンのもと、従来の「Face to Faceマーケティング」の上位概念に当たる「Experience」マーケティング※の提供を通じて、顧客のマーケティング・パートナーに進化していくために、以下の3つの取り組みを推進する。
※人と人とが出会う“場”・“空間”とそこで生み出される体験に焦点を当て、感動価値・経験価値を最大化し、顧客のブランド価値や商品価値向上をともに実現していくこと。
(1)顧客との永続的な共存共栄を実現するマーケティング・パートナーへの進化

前事業年度より継続してきた「点」から「線」のサポート、そして「面」のサポートへと顧客内シェアを拡大する取り組みをさらに推進することで、効果的なセールス・マーケティング戦略を立案・実行する。潜在顧客の掘り起こしや見込顧客の創出など、直接的に顧客の売上増加に寄与していくマーケティング・パートナーへと進化することを目指す。

(2)次世代の基幹事業への進化

前期より本格的に進出したカンファレンス・セミナー、商環境、デジタル・コンテンツ&マーケティングの各新規事業を、それぞれ次世代の基幹事業へと発展させる。イベント展示会事業において培ったノウハウや顧客接点を生かし、競争優位性を構築しながら、子会社アイアクトとの協業によって可能になった、顧客のビジネス拡大に直接貢献できる付加価値の高いコンテンツ創出、IT・デジタル技術等を用いた新商品・サービスの開発を継続的に行う。戦略的M&Aも視野に入れているようだ。

(3)グローバル対応が可能なパートナーへの進化

近年、顧客ニーズが高まっているグローバルでのマーケティングサポートサービスを提供できるインフラを構築し、サービスコンテンツ創出に挑戦する。特に、日本企業による海外でのイベント展示会への出展サポートや海外企業による日本国内でのイベント展示会への出展サポートについて、高品質なサービス提供ができる体制を整備する。また、新たな試みとしてグローバル企業によるアジア・パシフィック市場へのマーケティングサポートについても対応できる体制を準備していく。

上記3つの取り組みを実現するため、業界研究、顧客研究をさらに深め、マーケティング・パートナーとして専門性を高めていく。同時に、アカウントマネジメントとイベント・ディレクションとの役割分担の再定義(顧客担当者がすべてを取り仕切ることによるボトルネックの解消等)や、外注先との効果的な連携、デザイン部門及び制作部門の内部稼働率の向上などにより生産性を高めていく方針だ。

弊社では、企業業績の回復や2020年東京オリンピック開催に向けた広告・イベント市場の活性化期待など、外部環境が追い風となる可能性が高いほか、同社の戦略が着実に進展していることから、中期経営計画は実現可能とみている。

また、同社が成長戦略の柱であるサービス領域の拡充を行い、付加価値を向上させることは、季節要因や景気変動の影響のほか、インフラ(イベント会場等)による制約を受けやすく、さらにはチャレンジャー(下位企業)による価格攻勢が厳しくなってきた主力事業(展示会出展等)への高い依存度を是正するとともに、顧客との取引関係がより強化されて経営の安定や業績の拡大につながるものと評価できる。

イベント展示会での豊富な実績や顧客接点を生かしながら、幅広いソリューションや新しい価値提案につなげることができる同社には、明らかにアドバンテージがある。したがって、戦略的なチャレンジ案件の取り組みや先行投資的な費用負担が収益を圧迫するこの数年間が大きな変革に向けて勝負の時期となろう。ここで新たな事業モデルや価値提案を具現化していくことが同社の将来を左右するものとみている。

中期的には、戦略的なチャレンジ案件の収益化への道筋(内製化による収益の取り込み、オペレーションの慣熟や効率化による費用圧縮等)やデジタルマーケティング分野による新たな価値提案のほか、人材補強とその活用の成果(採用・育成や定着率の向上、稼働率の最適化等)が、同社の収益力の向上にどのように結びついていくのかに注目したい。また、M&Aやグローバル化の進展(海外企業からの受注案件の増加を含む)については中期経営計画には織り込まれていないことから、これらの進展により業績の上振れ要因となることにも留意する必要がある。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田 郁夫)

《YF》

 提供:フィスコ

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