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【特集】博展 Research Memo(6):16/3期は新規3事業が成長をけん引し大幅な増収増益を見込む


■決算動向

(1) 2016年3月期第2四半期決算の概要

博展<2173>の2016年3月期第2四半期の連結業績は、売上高が前年同期比29.0%増の3,728百万円、営業利益が同55.7%減の35百万円、経常利益が同57.8%減の33百万円、純利益が同62.7%減の15百万円となった※。ただ、期初予想に対しては、売上高、各利益ともに上回る結果となっている。また、単体業績では、想定以上の増収増益を確保しており、先行費用等が利益を圧迫している連結子会社アイアクトを除けば、同社業績は順調に推移したと言える。
※2015年3月期第4四半期より連結決算に移行しているため、前年同期比は単体決算との比較によるものである。

すべての事業が伸長したが、特にアイアクトの連結化が期初から寄与したデジタルマーケティングサービスを含めて、注力する新規3事業が順調に拡大した。また、主力のイベントプロモーションや展示会出展についても、サービスラインアップの拡充や営業体制の立て直し等により、売上機会の増加、案件単価並びに顧客単価の向上を図ったことから想定以上の増収となった。

一方、利益面では、外注原価率の高止まりや売上構成比率の変化に伴って原価率が上昇するとともに、先行投資的な費用負担(人材補強費やのれん償却費、研究開発費等)の増加により減益となったものの想定内であり、増収効果により計画を上回った。なお、アイアクトについては、下期偏重の傾向があることに加えて、一部案件の期ズレがあったことから、上期では営業損失となっているが、下期での損益改善を見込んでいる。

なお、新規事業の拡大とともに、同社がマーケティング・パートナーへと進化を図るために重視している顧客単価、リピート顧客売上高、指名受注売上高は順調に拡大しており、足元で好調な業績に加えて、成長戦略も順調に進展しているものと評価することができる。

2015年9月末時点で総資産及び自己資本に大きな変動はなく、自己資本比率も32.9%(前期末は33.5%)とほぼ横ばいの水準で推移した。

(2)過去の業績推移

過去の業績を振り返ると、売上高は2010年3月期にリーマン・ショック等による景気後退の影響を受けて一度落ち込んだことを除けば、着実な増収基調を維持している。特に、2013年3月期以降は、景況感の回復など外部環境の好転や新規事業の伸長等により業績は順調に拡大している。なお、2015年3月期第4四半期からは、アイアクトの子会社化により連結決算に移行した。

利益面についても、2010 年3月期に営業赤字に転落したものの、その後、売上高の伸びとともにV字回復した。ただ、2014年3月期以降は、今後の売上成長に向けた先行投資的な費用負担などから営業利益率は低下傾向にあり、連結決算に移行した2015年3月期についても、外注原価率の上昇や成長基盤整備のための先行費用(人材補強費、M&A関連費用等)の増加等により営業利益率は1.3%に低下した。

財務面では、自己資本比率が40%前後で安定的に推移する一方、ROEも同社の収益力の高さを反映して高い水準を確保してきたが、2014年3月期以降は、利益率の低下に伴ってROEも低下している。

(3) 2016年3月期の業績予想

2016年3月期の業績予想について同社は、売上高が前期比19.8%増の7,500百万円、営業利益が同40.7%増の115百万円、経常利益が同36.4%増の105百万円、当期純利益を同3.6%増の52百万円と大幅な増収増益を見込んでいる。

サービス別売上高で見ると、イベントプロモーションが前期比45.9%増の750百万円、展示会出展が同6.5%減の3,180百万円、商談会・プライベートショーが同20.5%増の770百万円、カンファレンス・セミナーが同12.5%増の450百万円、商環境が同49.7%増の910百万円、デジタル・コンテンツ&マーケティングが同241.0%増の1,040百万円と、展示会出展を除くすべてのサービスが伸長する計画となっている。

特に、アイアクトの連結化が期初から寄与するデジタル・コンテンツ&マーケティングを含め、注力する新規3事業が同社の成長をけん引する見通しである。一方、前期に落ち込んだ展示会出展については慎重な見通しではあるが、人材補強(中途採用による増員や定着率の向上等)による営業体制の強化やITソリューションによる差別化などによって巻き返しを図る方針である。

利益面では、引き続き、戦略的なチャレンジ案件による外注原価率の高止まりや、成長に向けた先行費用(人材補強費や研究開発費等)が想定されるものの、従来型のイベント・展示会案件と戦略案件とのバランスを考慮しつつ、外注管理体制の整備、プロジェクトマネジメントの強化によるコスト管理の徹底や付加価値の向上を伴う増収により営業利益率の改善を図る計画となっている。

弊社では、好調な外部環境(景況感の回復等)に加えて、第2四半期実績が計画を上回って順調に推移したことや、デジタルマーケティング分野などの新規事業による基盤強化の成果が徐々に現われ始めていることなどから、同社の業績予想は固めの水準とみている。一方、業容拡大に伴う外注原価率の動向やアイアクトの事業計画の進捗状況が業績の変動要因になることにも注意が必要である。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田 郁夫)

《YF》

 提供:フィスコ

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