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【市況】中村潤一の相場スクランブル 「反騰トレンドの佳境はこれから」

株式経済新聞 副編集長 中村潤一

株式経済新聞 副編集長 中村潤一

●有事モードも売り圧力の弱さ確認

 東京市場は日経平均2万円大台を前に瀬踏みしている段階にあり、投資家にとっては気を揉む場面です。しかし、1万9000円台後半で強弱感を対立させていること自体、1万7000円割れまで売り込まれた9月下旬の相場からは様変わりといってよい状況でしょう。「中国リスク」を背景に下値に突っ込んだ局面でも泰然自若として、年末に向けた2万回復シナリオを唱えた人は、そう多くはいなかったはずです。

 かつてギリシャ問題で激震に見舞われた時もしかり、こうした趨勢的な悪材料はフェードアウトするがごとく自然体でこなれる(株価に織り込む)時が訪れることを知っておくと役に立ちます。

 「人は前を見ているつもりで、実はバックミラーを見ている」という文学者マクルーハンの至言そのままに、これまでの軌跡が今後も続くと錯覚するのが、未来を覗くことができない人間の宿命ともいえ、相場は特にその傾向が顕著です。

 PERは日経平均採用ベースで15倍台半ば。下方修正懸念も限定的であり、短期的な過熱感に目を奪われず、今は株価水準的に決して行き過ぎに買われているわけではないという冷静な認識を持ちたいところです。

 パリの同時テロはもちろん予測不能のネガティブ材料ですが、大勢トレンドを揺るがすには至りませんでした。

 今の環境は悪材料と好材料が表裏一体です。国内・海外を問わず、景気が悪ければ政策期待と背中合わせ。一方、米利上げは米国株には足かせでも円安誘導材料としては東京市場にプラスに働くわけで、いわゆる「いいとこ取り」が大手を振る地合いになれば、株高の理屈は後からついてきます。つまるところ、相場のベクトルは足もとの株式需給による部分が大きいのです。

 その方向性を示唆するのが外国人投資家の動向。10月は4630億円を買い越し、11月も現時点で買いが優勢です。8月、9月合わせて実に3兆7350億円強売り越した怒涛の下げ圧力が通過した今、反騰トレンドは未だ道半ばであると考えています。

(11月18日 記、次回は12月2日掲載予定)

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