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【経済】色褪せたBRICS、輝く東南アジア


BRICs(ブリックス)の名付け親ともいえる投資銀行が、BRICsファンドから撤退すると伝えられている。BRICsとはブラジル、ロシア、インド、中国の成長著しい新興国の頭文字を取って名付けられたものだ。後に、当初の「BRICs」ブラジル、ロシア、インド、中国の4ヶ国に南アフリカ共和国を加えた5ヶ国が、「BRICS」と呼ばれるようになり、BRICS首脳会議が開催されるまでになった。
 いずれも2000年代に入って目覚ましい経済発展を遂げていたため世界の成長セクターとしてもてはやされていたが、ここにきて成長に急ブレーキがかかり失望を招いている。特にブラジルは高インフレと財政赤字に苦しみ、相次ぐ格下げやマイナス成長転落へと、状態は悪化の一途をたどっている。中国やロシアについても経済の減速が顕著で、なんとか成長性に期待をつないでいるのはインドだけという有様だ。
 BRICSの中で大きく低迷している国は資源価格の影響を受ける国だ。資源を爆食する中国のスローダウンによって資源価格が下落し、これにより大きな打撃を受けている。これらの国の経済成長が目覚ましかったのは、結局中国の資源消費に支えられていただけとも言える。今後これらの国が復活するかどうかは、ひとえに中国経済がソフトランディングし、その後景気回復に向かうかどうかにかかっているといえよう。
 色褪せたBRICSにかわる次の成長セクターは東南アジアだろう。東南アジア諸国は世界経済の減速にもかかわらず高成長を維持している。短期的には中国経済の減速等の影響を受ける可能性はあるが、巨大な人口のなかから中間所得層が爆発的に増加しつつあることで内需が伸びており、長期的に世界を牽引する成長セクターとなるだろう。
 幸い日本は地理的に東南アジアに近い。また、環太平洋経済連携協定(TPP)の締結は東南アジアの成長に乗る絶好のチャンスとなる。少子高齢化・人口減少で国内の成長が限定的となる可能性がある日本だが、東南アジアの成長にうまく乗ることができる日本企業は有望であろう。
《YU》

 提供:フィスコ

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