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【経済】NYの視点:ECB追加緩和、一部では反対意見も


エストニア中銀のハンソン総裁は米ウォールストリートジャナル紙とのインタビューで、「欧州中央銀行(ECB)は現状で中銀預金金利を含めて追加利下げする必要はない」との見解を示した。投資家の間では、10月の定例理事会後のドラギECB総裁の会見を受けて、12月3日に開催される定例理事会でECBが追加緩和を実施することは必至と見られていたが、25人全てのメンバーが追加緩和を支持しているわけではないことが明らかになった。

ハンソン・エストニア中央銀行総裁は現在0.2%マイナスの中銀預金金利を引き下げることを協議することは可能だが、「現在のところそういった提案はなく、そういった措置をとるべきではないと考える」と述べた。ただ、状況が一段と悪化した場合、「全ての選択肢を分析することが可能だ」と加えた。ハンソン総裁はインフレに関して、今後数か月で急伸すると見ている。

ドラギECB総裁は10月定例理事会後の会見で成長やインフレの見通しリスクが下方に傾斜しており、「12月の定例理事会で金融緩和の度合いを再検証する」と言及したほか、「預金金利の引き下げも協議された」と述べたため、追加緩和の一環として中銀の預金金利が引き下げられるとの思惑が強まった。加えて、メディアでも、関係筋の話として、12月の中銀預金金利引き下げでコンセンサスができつつあると報じられた。利下げの幅も、市場がすでに織り込んでいる0.1%以上の利下げが必要との指摘もあったといわれており、12月の追加緩和はほぼ確実と見られていた。

一方、エストニア中央銀行のハンソン総裁や独連銀のバイトマン総裁のように、ECBの追加緩和に懐疑的な見解を持つメンバーもいる。イタリア中央銀行のビスコ総裁も「12月の政策会合で金融緩和の度合いを再検証」とドラギECB総裁の発言を繰り返したと同時に、「低金利は金融市場でのリスクテイクを促進する可能性」と慎重な姿勢も示した。しかし、こういったタカ派の意見がドラギ総裁の方針を妨害する可能性は少ないと見られている。他の報道では、ECBが追加緩和の拡大で、パリやバーバリアといった地方債の購入も検討しているという。こうすることでドイツ債市場を支援するほか、イタリア債やスペイン債の不足も補える。ユーロは引き続き戻り売りスタンスが機能しそうだ。

《NO》

 提供:フィスコ

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