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【経済】中国人海外旅行者は3年連続世界最多、「消費流出」加速


海外旅行者の増加につれて、中国で消費力の流出が止まらない。中国人海外旅行者と
その滞在国での消費額は、3年連続で世界トップを記録。2014年は、中国人海外旅行
者数が延べ1億900万人、海外支出額が前年比28%増の1648億米ドル(約20兆100億
円)に達した。15年はそれぞれ、10.1%増の1億2000万人(↑)、17.7%増の1940億
米ドル(約23兆5600億円)に膨らむと見込まれている。経済参考報が5日付で伝え
た。

中国人の海外での“爆買い”は、今や世界各地でみられる現象。日本旅行業協会に
よると、今年10月の国慶節連休中に日本を訪れた中国本土観光客はおよそ40万人。そ
のほとんどが買い物を目的としていた。彼らの日本滞在中の消費額は、約53億人民元
に達したとされる。

中国人観光客が海外で購入する商品も多様化してきた。かつては内外価格差が大き
い高級ブランド品に集中していたが、近年は美容マスクや歯磨き粉など日用品も“爆
買い”の対象となっている。スペイン・マドリードのスーパーで包丁を購入した江蘇
省からの観光客は、「日用品は国内で買った方が安いが、品質は海外製が勝る。安心
して購入できるし、偽物をつかまされる心配もない。価格もよりも、生活の質をより
重視している」と話した。

またここ数年は、「海外代購(個人輸入代行)」サービスも人気だ。商品価格の
10%程度が仲介料としてとられるが、それでもブランド品などは国内価格に比べて7
~8割安いことが大きな魅力という。「海外代購」の台頭は、中国の税関収入を大幅
に流失させるという結果を招いているのが現状だ。

こうした購買力の海外流出について、商務部研究院消費研究部の趙萍・副主任は、
「中国の小売業と製造業が“消費のレベルアップ”に追い付いていないことを映した
ものだ」と解説。「中国経済の下振れ圧力が強まる中では、免税店の強化など海外流
出した消費力を国内に回帰させるための策を講じるべきだ」との認識を明らかにして
いる。その上で、これら海外消費を50%取り戻せば、国内消費の伸びは1ポイント高
まるとの試算を示した。


【亜州IR】

《ZN》

 提供:フィスコ

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