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【通貨】欧米為替見通し:政治的混乱に終止符も、トルコリラは上値が重い


今日の海外市場では、トルコリラは上値が重い展開となりそうだ。約5カ月間も続いた政治情勢の不透明感が払拭されるなか、3日発表された消費者物価指数(CPI)は上振れしたことで利上げ期待が浮上しそうだが、エルドアン政権の不人気ぶりが意識され、リラ買い意欲を抑える可能性があろう。


1日の再選挙では、AKPが単独過半数を獲得し、予想外の圧勝となった。10月に首都アンカラで発生した自爆テロなどを受け、有権者が政治の安定を求めたことが、AKP圧勝の主要因とみられる。約5カ月間続いた政治情勢の混乱に終止符が打たれたことから投資環境の改善が見込まれ、トルコリラは2日の取引で42円20銭から43円63銭まで上昇した。ただ、リラ買いは長続きしなかった。


一方、トルコ中央銀行は10月28日、2015年末時点のインフレ率の見通し(中央値)を前回報告の6.9%から7.9%に、2016年末時点については5.5%から6.5%にそれぞれ上方修正した。同時に、バシュチュ総裁は記者会見で、米連邦準備制度理事会(FRB)が引き締め開始後に、トルコも利上げする可能性を示した。


ただ、6月の総選挙でAKPが過半数を割り込んだのは、エルドアン政権の不人気が原因だった。1日の再選挙で与党が圧勝し、さらに今日発表された消費者物価コア指数は前年比8.92%で予想8.47%を上振れたが、反応はそれほど大きくなかった。これは、改めて政権の不人気ぶりが意識されたことで、積極的なリラ買いを抑えた可能性がある。市場が混乱する前の8月時点の水準、44円まで戻るには、さらに時間がかかるだろう。

【今日の欧米市場の予定】
・18:30 英・10月建設業PMI(予想:58.8、9月:59.9)
・24:00 米・9月製造業受注指数(前月比予想:-0.9%、8月:-1.7%)
・03:00 ドラギECB総裁講演

《MK》

 提供:フィスコ

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