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【特集】キャリアリンク Research Memo(6):期初計画を据え置くも、売上高・利益ともに上振れする可能性


■今後の見通し

(1) 2016年2月期業績見通し

キャリアリンク<6070>の2016年2月期の業績は、売上高が前期比17.4%増の16,368百万円、営業利益が同14.4%増の951百万円、経常利益が同14.2%増の938百万円、当期純利益が同15.4%増の562百万円と期初計画を据え置いている。売上高については第2四半期まで計画を上回るペースで推移しており、今後も新規受注の獲得が見込めることを考えれば、上振れする可能性が高い。また、利益ベースでも下期は上期で発生した一時的費用の発生は見込まれず、第2四半期から始まった新規BPO関連業務の生産性改善による収益寄与も期待できることなどから、既存の受注確定案件だけでも会社計画の達成は可能で、今後新規受注案件が売上に貢献すれば、利益ベースでも上振れする可能性はあると弊社ではみている。

事業別の売上高成長率はBPO関連事業で約28%増、CRM関連事業で約4%増、製造技術事業で約4%増、一般事務事業で約6%増をそれぞれ見込んでいる。特に大幅伸長を見込むBPO関連事業に関しては、「マイナンバー」関連で地方公共団体からの直接受注、あるいはBPO事業者経由での受注を10件以上、受注高で700百万円強をすでに獲得している。今回、「マイナンバー」関連業務に関して、企画提案型のプロポーザル方式で入札を実施した地方公共団体のうち、各種民間向け、地方自治体向けBPO案件運用実績において蓄積した運用ノウハウなどが活かされ、約40%と高い受注シェアを獲得したことになる(総入札件数でのシェアでは約14%)。

「マイナンバー制度」(社会保障・税番号制度)のスケジュールとしては、2015年10月より法人・個人向けに番号の通知を開始し、2016年1月より番号カードの交付や地方公共団体での利用開始、2017年以降に情報提供ネットワークシステムの運用が開始され、行政機関間や国と地方自治体の間での番号のやり取りが可能となる。また、2018年以降は銀行など金融機関口座との紐付けも開始される方向で検討されており、今後関連業務が本格的に拡大していくものとみられる。

同社においては9月より個人番号通知カードの発送業務やコールセンター業務などが既に始まっており、今後も過去の受注実績を強みに、他の地方公共団体や金融機関、民間企業などからの受注を獲得していく方針となっている。これら業務は、同社が得意とするプロジェクトの早期立ち上げ、短期での大量動員、チーム派遣などに適した業務であることから、2017年2月期も売上高は一段と拡大することが予想される。

○成長に向けた組織体制を整備
同社ではマイナンバー関連を中心に、BPO関連事業を拡大していく方針で、人的リソースの拡充に向けた新たな組織体制も構築している。具体的には、BPO事業者や金融業界、地方公共団体への企画・提案力の強化と関係強化を推進していくために、営業企画・開発営業並びに品質管理機能を拡充し、営業推進部として独立させた。

人材面では、大手BPOベンダーや大手派遣会社などから即戦力となる人材の採用を強化しているほか、キャリアパス制度による就業スタッフの社員への登用など、高スキルを持つ人材の確保などに重点を置いている。また、専門的なスキルを要する人材の供給や大量動員案件を受注した場合の迅速な人材の供給を可能にするため、コーディネート部門と人材採用部門を統合して、人材開発部として新設し、組織体制の強化を図っている。

教育・研修に関しても、本社内に研修センターを設置するなど体制を整備した。現在は社員向けの研修を中心に実施しているが、今後は派遣社員向けの研修拠点としても活用していく方針としている。また、2016年4月の新卒採用内定者数は73名となっており、業容の拡大に伴って、従業員数もさらに増加する見通しとなっている。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)

《HN》

 提供:フィスコ

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