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【経済】中国:車載用廃電池は20年に17万トン規模、二次汚染リスク増大


エコカーの普及拡大につれ、中国で使用済み電池の処理問題がクローズアップされている。乗用車市場だけでみても、電気自動車(EV)とハイブリッド車(HV)向け電池の廃棄量は、2020年に17万トンほどの規模に膨れ上がると試算されている。適切な処理が施されなければ、二次汚染につながりかねず、廃電池の回収・リサイクルシステムの構築が急務となっている。中国産経新聞が10月30日付で伝えた。
鉛酸蓄電池を例示すると、足元でみられる汚染問題の発生源は回収段階にあると言われている。鉛酸蓄電池の回収市場が家族型経営の個人業者を中心に成り立っていることが背景だ。こうした個人業者は利益のみを追求するため、回収された電池は買値のより高いスクラップ業者へと流れる。しかしこうしたスクラップ処理企業は、違法経営が多い。廃電池を燃焼処理したり、潰して中の廃酸を直接廃棄したりと、適切な処理を行っていないのが現状だ。結果的に二次汚染を招いているという。
エコカー向け電池には、鉛酸蓄電池のほか、ニッケル水素電池、リチウムイオン電池、リン酸鉄イオン電池などの種類がある。うち、鉛酸蓄電池は生産コストが低いこともあって、中国の車載用電池市場で唯一、量産が可能な製品となっている。特にローエンド車向け製品が大量に出回っていて、回収・リサイクルシステムの整備が求められる状況だ。  工業信息化部(工業情報化部)は今年9月、EVバッテリーのリサイクルに関する新規定の草案を発表し、パブリックコメントを開始した。同草案では、廃バッテリーの回収に関する責任の所在を明確化。EVバッテリーの生産から回収、再利用までをつなぐ産業チェーンを構築する狙いとなっている。ただ、適用の対象はリチウムイオン電池、ニッケル水素電池など。鉛蓄電池は含まれていない。
同部の公式サイトで示された完成車出荷合格証交付件数に基づくと、中国のエコカー生産台数は今年9月、前年比で3倍の3万2800台に拡大した。

【亜州IR】

《ZN》

 提供:フィスコ

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