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【経済】長期的な経済成長の決定的な要因は人口増


中国が30年以上にわたって続けてきた一人っ子政策の廃止を決定した。これは最近の中国経済の減速を受けた政策の大転換であることは想像に難くない。中国が頑なまでに続けてきた一人っ子政策をやめるほど経済の減速に危機感を抱いていることは、経済成長へカジを切り直す政策転換のサインとも見られる。
 隣国のインドは近い将来人口で中国を抜くとみられているが、高い経済成長率を維持しており、このままの成長率を続ければ経済でも中国に追いつくかもしれない。インドの好調さや、国内の少子高齢化・人口構成のいびつさから中国が我が身をかえりみて政策変更に至ったのは当然のことかもしれない。
 そもそも、経済成長の最も決定的な要因は人口増加だ。短期かつ地域によっては経済成長と人口増加は必ずしも比例していないが、超長期でみれば人口が増えれば全体の経済規模は必ず増加する。世界経済の規模がここまで大きくなったのは人口が増加し続けているからである。人口が減少しつつある日本にいては実感しにくいが、世界人口はさらに加速度的に増加している。2050年までには90億人を突破するとみられている。超長期的にみれば、隕石の衝突や疫病の世界的大流行等の極めて起こりえないような事象がない限り、世界経済は確実に成長を続けることが約束されているといえる。
 大恐慌やリーマン・ショック等の危機が時折発生し、景気が減速したりマイナスに陥ったりするが、超長期的には人口が爆発的に増加しているため、それを乗り越えて世界経済の規模は拡大するのである。世界経済の成長を享受しうるポートフォリオを持っている超長期投資家は必ず報われるということになる。
 翻って日本においては、最近安倍政権が国内総生産(GDP)を600兆円とする目標を掲げたが、人口が減少して行く中でこれを達成することは、下りのエスカレーターを昇るようなもので非常に困難だ。日本が世界第二位の経済大国まで登り詰めたのも人口が急角度で増加し続けたことが大きい。
 長期的に国全体のGDPを増やすのであれば少子化対策が最も重要なことは論をまたない。
 ただ、中長期的には日本の人口が減少することは現時点の人口構成をみると決定事項となっている。少子化対策はすでに遅きに失している。 
 そうだとすると、中長期的に日本の目指す道としては、一人あたりGDPを増やすことに目標を設定すべきではないだろうか。
《YU》

 提供:フィスコ

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