【市況】【植木靖男の相場展望】
株式評論家 植木靖男
「年内上昇基調持続の条件」
●年内に2万円近辺まで上昇か
首都圏で木枯らし1号が吹いた。気がつけば15年も僅か2ヵ月を残すのみである。
株式市場では、ギリシャ、米利上げ問題で振り回されたが、それにしては意外なほどしたたかさをみせている。年央まで米国など先進国市場は大幅に値上がりした。この背景は基本的に過剰流動性によるものといえる。
だが、さすがに中国景気減速という警戒材料が浮上すると、世界経済の先行き不安で株価は一気に切り崩された。
年後半に入って、米利上げ先送り見通しが強まる中、欧州の追加金融緩和、中国の利下げと急速に緩和ムードが強まり、株価は持ち直しをみせている。リスク志向の復活である。日本株も例外ではない。
では、今後はどう展開するとみればよいのか。仮に年末までをと限定して高いと仮定すると、おそらく日経平均株価は2万円近辺まで上昇する確率が高いと予想される。大方の見方もそのようである。だが、年末あたりまで高いかどうかは保証の限りでないのはいうまでもない。
もし、年末ぐらいまでであれば、前提条件として世界の緩和状態が維持され、かつ米国景気がふらふらしながらも拡大すること、そして円安トレンドが維持されることだ。これが崩れれば、年内高のシナリオは困難と思われる。
●日医工など医薬品株に注目
さて、目先的にはどうか。筆者は1万9200円処に一つのフシがみえる、としていたが、実際、10月26日1万9088円を高値に、その後もみ合いが続いている(10月29日現在)。
もっとも、細かい話になるが、高値を付けた翌々日に小さいながらも反発しているところをみると下値は乏しいとみてよさそうだ。
ただ、今後、それなりの上昇を期待するのであれば、数日間の一気走り、すなわち連騰することが望ましいのはいうまでもない。それが相場の定石というものである。
ところで、材料的にはどうか。市場では中国景気減速に大きな関心が寄せられている。確かに中国株価の暴落は、景気の減速を示唆しているが、株価からみると8月下旬安値からすでに40日ほど経過しているにもかかわらず、8月安値を下回る気配はみえない。
むしろ、中国景気より、これまで安心感があった米国景気の先行きが心配である。経済指標には十分な留意が必要であろう。
今後の物色は内需のみならず輸出関連の交互物色になりそうだ。後発薬大手の日医工 <4541> や塩野義 <4507> など、小野薬 <4528> に牽引される医薬品株に注目したい。
2015年10月29日 記
株探ニュース