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【市況】国内株式市場見通し:世界的な緩和ムードの中、リバウンド機運が高まりやすい


先週の日経平均は上昇。日銀による追加緩和期待が高まる中、週末には一時8月31日以来となる18900円を回復する局面をみせた。週初は海外勢のフローが少ないほか、本格化する決算を前に利益確定の流れが優勢。また、中国7-9月GDPなどの発表を見極めたいとする流れから、25日線レベルでのこう着感の強い相場展開となった。狭いレンジ取引が続く中、20日の売買代金は1.8兆円と、4月6日の1.6兆円以来の低水準に。

その後、9月の貿易収支が6か月連続で赤字となると、これが日銀による追加の金融緩和への思惑につながった。さらに、中国減速から業績下振れ報道が伝わった新日鉄住金<5401>のほか、コンセンサスを下回った日本電産<6594>などがアク抜け的な動きをみせると、これが投資家のセンチメントを改善させ、さらにリターンリバーサルの流れに向かわせた。

週末には欧州中央銀行(ECB)のドラギ総裁による「12月に金融政策の緩和の度合いについて再検討する必要がある」との認識が伝わると、欧州市場が全面高に。東京市場では10月末の金融政策決定会合での追加の金融緩和政策への期待感が一層高まるなか、ほぼ全面高商状となった。

今週は決算発表が第一弾のピークを迎え、約860社が決算を発表する。これまでの流れからはアク抜けに向かわせており、市場のムードは悪くない。コマツ<6301>、野村HD<8604>、ソニー<+758>、任天堂<7974>など、リバウンド基調が強まるかが注目される。海外決算では米アップル、独フォルクスワーゲン(VW)の決算が予定されている。米国ではハイテク企業の好決算やM&Aなどが相次いでおり、足元で大きく調整していた電子部品株への見直しに向かわせよう。VWの決算では自動車部品株などのアク抜けに期待したいところ。28、29日に東京モーターショーが開催されることもあり、次世代自動車関連銘柄への物色も強まりそうだ。

その他、10月30日の日銀の金融政策決定会合への期待感なども買い戻しに向かわせる一因と見られる。今回のドラギ総裁の発言により、年末までは緩和期待が相場の下支えとして意識されやすい。国内についても10月末の金融政策決定会合では現状維持との見方が大勢。タイミングとしては翌週に郵政グループ上場を控えていることもあり、追加緩和露なれば刺激材料になりやすい。ただし、麻生財務相による追加緩和に否定的な見解が頻繁に伝えられており、コンセンサスとしては現状維持なのであろう。とはいえ、瞬間的には失望売りも考えられるが年内の追加緩和期待は根強いことから、失望以上に押し目買い意欲の方が強いだろう。

その他、中国では26日から開催される第18期中央委員会第5回全体会議(5中全会)に対する期待が高まりやすい。成長率目標を引き下げるとの見方が出ているが、この成長目標を達成する上で、政府は戦略として消費促進、投資の安定化、輸出支援を目指すと見られている。世界的な緩和ムードの中、リバウンド機運が高まりやすいとみられる。

27、28日に行われる米連邦公開市場委員会(FOMC)の動向への関心も集まりやすいとみられる。中国経済の不振が影響して米景気に減速感が出ているため、9月に続いて利上げを見送り、事実上のゼロ金利政策の維持を決めるとみられる。それでも、FOMC参加者の大半は年内の利上げを見込んでいると、前回の会合でイエレン議長は述べていることもあり、29日の7-9月期の米GDP速報値への関心も高まるだろう。ただ、米国については年内利上げ観測が根強いなかでもリバウンド基調が強まってきている状況であり、米国市場はアク抜けとみてよさそうだ。

世界の金融政策への期待等から海外市場もリバウンドが意識されやすいなか、相対的に戻りの鈍さが意識されている日本株市場には、海外勢の資金回帰への期待にもつながる。海外市場の安定と緩和期待が相場を下支えするとみられ、さらに翌週の郵政グループ上場が成功となれば、センチメントを相当高める要因となる。市場は早くも師走相場的なムードを高めてくることも意識しておきたい。

《FA》

 提供:フィスコ

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