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【特集】「イクメン企業」増加中 <株探トップ特集>


―厚労省表彰で話題、株式市場に影響は?―

 厚生労働省は10月2日、「イクメン企業アワード2015」と「イクボスアワード2015」の受賞企業を発表した。これらのアワードは、育児を積極的に行う男性(イクメン)の仕事と育児の両立を積極的に促進し業務改善を図る企業と、部下の仕事と育児の両立を支援する管理職(イクボス)を表彰するもの。

 一見、株式市場とは関係が薄いようにも見えるが、仕事と育児を両立できる環境を整備することは、企業の人材確保と流出防止に役立ち、成長にもつながる可能性が高く注目されている。

●“前向き企業”表彰で話題

 厚労省の「イクメン企業アワード」と「イクボスアワード」は、「イクメン」を応援し、男性の育児休業取得を促進する「イクメンプロジェクト」の一環として、働きながら安心して子どもを産み育てることができる労働環境の整備推進を目的に、 模範となる企業や個人を表彰するもの。なお、「イクメン企業アワード」は今年で3回目、「イクボスアワード」は2回目を数え、社会的な認知も高まっている。

 今回の「イクメン企業アワード」では、グランプリとして社会福祉法人桔梗会(群馬県)、T&D <8795> 傘下の大同生命保険(大阪府)の2社と、特別奨励賞としてコネクシオ <9422> と東急 <9005> 、ローソン <2651> の3社が受賞した。

 一方、「イクボスアワード」では、グランプリとして丸井G <8252> 傘下の丸井取締役大宮店長・阿部和美氏、ニフティ <3828> [東証2]WEBサービス事業部スマートデバイスサービス部部長・長谷川晃司氏、医療法人寿芳会芳野病院理事長・院長芳野元氏の3人と、特別奨励賞としてイオン <8267> 傘下のダイエー業態開発部執行役員部長・伊藤秀樹氏、オイシックス <3182> [東証M]システム本部システム部部長・普川泰如氏の2人が受賞した。

●進む男性の育児参加

 「イクメン企業アワード」を受賞した企業のうち、グランプリを受賞した大同生命では、上司の意識改革・指導力向上を目的としたペア研修の実施や、「両立支援ハンドブック」の提供、育児休業取得者の体験談の紹介など、男性が育児参加しやすい環境醸成に取り組んだことが評価された。これにより同社の14年度の男性の育児休業取得率は100%に達しているという。

 特別奨励賞を受賞したコネクシオでは、育児休業の取得促進に向けて、対象者とその上司への取得推進メールの配信や、会議での役職者へ啓発活動などの取り組みを行い、男性の育児休業取得者が増加した。また、東急では、育児休業の有給化(最大43日間)や、「イクメンセミナー」など男性の育児休業・育児参画促進の取り組みの結果、男性の育児休業取得者が増加し、取得日数も平均73日と長くなった。

 さらに、ローソンでは、管理職を対象とした労務管理研修や、子どもの生まれた男性社員の上司宛てに人事部から育児休業取得の声掛け依頼を実施するなど、マネジメント層にも取り組みを浸透させイクボスを育成している。このほか、育児休業を5日間有給とする制度の導入などを行った結果、男性の育児休業取得者が増加している。

●JPHD、サクセスHDなど注目

 受賞した企業以外にも、近年ではイクメンを後押しする企業が増加中だ。セブン&アイ <3382> では、若い男性社員が育児に関するセミナーや意見交換の場に参加する取り組みを進めている。また、サイボウズ <4776> では、青野慶久社長が率先して3人の子供の育児休暇や時短勤務を取得したことでも知られている。

 もちろん、取り組みだけではなく、イクメンを支える企業にも注目が高まっている。保育所や保育園の運営を行っているJPHD <2749> やサクセスHD <6065> は、女性の活躍推進や、今後本格化が予想される少子化対策関連としても関連銘柄として挙がるが、イクメン関連としても注目されそうだ。

 ※<株探トップ特集>は、市場が注目するテーマをタイムリーに、火~金曜日の20時、日曜日の15時に配信しています。

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