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【通貨】欧米為替見通し:与党敗北でカナダドルは下落か、原油価格はOPECの動向を見極めへ


今日の海外市場では、カナダドル売りの地合いが強まりそうだ。19日投開票のカナダ総選挙では現在政権与党の保守党が敗北する公算が大きい。また、サポートとして期待される石油輸出国機構(OPEC)の原油下限価格の設定については、実現が困難と見られている。

19日に実施されるカナダ総選挙は、今年8月に下院が解散されたことを受けて4年ぶりに行われる。現地メディアが公表した18日時点の予測で、ハーパー首相率いる保守党が第1党になる確率は22%、自由党が第1党になる確率は79%、自由党・NDPで過半数議席を占める確率は97%となっているようだ。難民の受け入れ拡大などを訴えて事前の世論調査で優位に立つ野党・自由党が、保守党を破って約10年ぶりの政権交代を実現するか注目されている。

ハーパー政権はこれまでの経済優先の政策効果を強調し、有権者に指示を訴えてきた。ある邦銀関係者は「自由党のような中道保守勢力が政権与党となれば、経済への刺激の観点から株安・通貨安に振れやすい」とし、カナダドルの売りが強まる可能性を指摘する。実際、今日の東京市場では、カナダドル・円は中国の7-9月期国内総生産(GDP)の予想上振れを受け上昇する場面もあったが買いは続かず、その後は売りに押される展開となった。

カナダドルの下値を支える原油価格に関しては、OPECによる下限価格の設定が期待される。ベネズエラのラミレス国連大使が石油価格回復に向け、1バレル=70ドルの下限を設けるよう提案し、21日にウィーンで開くOPEC技術専門家会議で協議される見通し。ただ、主要メンバーのサウジアラビアが価格下支え政策に興味を示していないほか、専門家は70ドルの価格帯が実勢価格とかい離しており、ラミレス大使の提案は現実的でないと批判的な見方を強める。

これらを踏まえると、与党・保守党が敗北した場合にはカナダドル売りが強まる可能性があるほか、回復基調が一服しそうな原油価格の動向はカナダドルの下支え要因にはなりにくい。日銀金融政策決定会合を翌週に控え追加的な金融措置への期待感が高まっていることから、急激なカナダドル売りには振れにくいと見るが、OPEC技術家専門会議が開催される21日にかけて90円台をつける可能性はあろう。


【今日の欧米市場の予定】

・23:00 米・10月NAHB住宅市場指数(予想:62、9月:62)
・23:00 ブレイナード米FRB理事講演(規制改革関連)
・01:00 ラッカー米リッチモンド連銀総裁(金融教育関連)
・カナダ総選挙

《FA》

 提供:フィスコ

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