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【特集】健康CP Research Memo(3):成長の定義に占める「利益」の比率が高まる


■RIZAP事業の現況と今後の事業展開

(2) RIZAP事業の成長戦略

a)概況
ここにきて、同社の“成長”に対する考え方が少し変わってきたという印象だ。これまでは、「成長=売上高の増大」であり、具体的なアクションとしては広告宣伝の投下と店舗展開に重点が置かれていた。しかしながら、2016年3月期に入って本格化した医療機関との連携と、新たに始まった法人向けプランの事業目的においては、「広告に頼らない集客」ということ要素が、前面に強く打ち出されている。これは成長の定義に占める“利益”という要素の比率がこれまで以上に高くなってきていることを示唆している。今後のRIZAP事業において、「売上高は成長したが利益がついてこない」という状況に陥るリスクは、これまで以上に低下していくものと弊社では考えている。

b)医療機関連携
健康コーポレーション<2928>は有吉クリニックとの間で業務提携に基づくサービスを2015年2月に開始し、収益ポテンシャルなどをモニターしてきた。その結果が良好だったこともあって新規に7医療機関との事業提携を2015年6月25日にリリースした。内容は有吉クリニックとの提携と同様のものであり、医療機関からの送客、シニア層向けサービスについて医学的見地に基づいた助言、豊富なデータを駆使した医学的見地を活用したエビデンス開発などとなっている。この医療機関連携の狙いとして同社は、医療機関からの紹介による広告費削減を挙げている。事業提携において同社は医療機関に指導料などの対価を支払うことになるが、集客における費用対効果としては広告と比べて圧倒的に高いと期待されている。

同社は、こうした提携医療機関の数を、今期中に100施設まで増やす計画であることを明らかにしている(提携医療機関数はその後増加し、8月初旬時点で10機関となっている)。

医療機関連携は、シニア層取り込みという戦略においても、極めて有効なものであると弊社では評価している。将来的に100の医療施設から平均的に10人の送客があれば、1,000人程度のシニア層が利用しているという状況が想定される。これらの顧客の家族・友人という広がりを考えると、シニア層の割合を高めるという同社の目標に対して、極めて大きなプラス効果をもたらし得るものと弊社では期待している。

シニア層の顧客の特徴は、継続性が高いということだ。現時点ではRIZAPは2ヶ月間が1つの区切りとなっているが、将来的にシニア層向けの長期的な新プログラムが開発されるといった可能性は十分にあると弊社ではみている。事業の発展性を考える上でも、シニア層を取り込むことの意義は大きいと言える。

c)法人向けプログラム
同社が8月12日にリリースした法人向けプランもまた、広告に頼らない集客の一環だ。これは法人がRIZAPと会員契約することで、当該法人会員の社員は20%割引でRIZAPを利用できるというものだ。一見すると大幅に利幅が圧縮される印象を受けるが、そうではない。2015年3月期を例に取ると、RIZAP事業は売上高100億円に対して広告費40億円という費用構造だった(金額はいずれも弊社推定)。すなわち、会員獲得に占める広告費の割合が40%ということである。法人向けプログラムによって20%割引を行ったとしても、集客費用がない分採算性が高いということだ。

同社は今期中に500社との契約を目指すとしている。“今期中”という時間軸はかなり挑戦的な目標に聞こえる。しかし顧客数については、法人としての最低費用が入会金50万円・年会費50万円と比較的安価であることを考えると、中期的には500社では到底とどまらない潜在需要があると弊社ではみている。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 浅川 裕之)

《RT》

 提供:フィスコ

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