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【特集】日本調剤 Research Memo(5):自社グループの承認品目が一気に拡大


■日本調剤の特徴と強み

(2)医薬品製造販売事業

日本調剤<3341>は2005年に日本ジェネリックを設立し、ジェネリック医薬品の製造販売事業に進出した。重要なポイントは、この事業部門が、同社内部での垂直統合のためだけの存在ではないということだ。すなわち、日本ジェネリック及び長生堂製薬という医薬品製造担当子会社グループは、自社生産品(及び一部の仕入品)を、医薬卸会社を通じて第三者グループに販売するという事業モデルになっている。2015年3月期実績では、医薬品製造販売事業セグメントの売上高の約66.6%が外部売上高、33.4%が内部取引という状況だ。

日本ジェネリックは当初は他社からの導入品(仕入品)を扱っていたが、生産体制が整備されるにつれ、2008年3月期からは順次、自社による承認・製造品目を拡大させてきている。日本調剤は、日本ジェネリックに加え、長生堂製薬を2013年4月に子会社化した。これにより、自社グループの承認品目が一気に拡大した。2015年6月現在では576品目となっている。

製造拠点の拡大もここにきて加速している。日本ジェネリックにおいては、従来はつくば工場N棟の1拠点だったものが、2015年3月期においてつくば工場S棟の完成とテバ製薬からの春日部工場取得で3工場体制となり、生産能力も10億錠から32億錠へと拡大した。また、長生堂製薬においても本社第二工場が完成し、生産能力は9億錠から11億錠へと拡大した。

さらに、2015年9月には日本ジェネリックのつくば第二工場の建設が発表された。これは2018年3月までに年産100億錠の能力を有する新工場を建設するというもので、投資額は土地・建物及び機械設備第1期分の総計で約172億円が予定されている。これと同時並行で現つくば工場(N棟とS棟合計)の生産能力増強も行い、長生堂製薬分も合わせた総生産能力を156錠/年にまで伸ばす計画となっている。

このように能力増強を急ぐ背景には、政府が2020年度末までにジェネリック医薬品の数量シェアを80%以上に引き上げるという目標を打ち出していることがある。同社では、過去5年間の動きに比べて今後5年間はジェネリック医薬品市場の成長がさらに加速すると考えており、そうした市場の急拡大の動きを、企業収益としてしっかり取り込む狙いがある。

販売品目の拡大、製造拠点の充実、及び外部販売高の拡大によって、同社の医薬製造販売事業セグメントは2013年3月期にセグメント利益が初めて黒字化し、その後は黒字が定着している。つくば工場S棟の完成に伴う減価償却費の増加や春日部工場取得に伴うのれん代の償却などにより、2016年3月期以降のセグメント利益は一時的に圧迫される懸念もあったが、2016年3月期第1四半期決算ではセグメント利益は前年同期比78.7%増の589百万円となり、マージン縮小は杞憂に終わる可能性が高いと弊社では見ている。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 浅川 裕之)

《HN》

 提供:フィスコ

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