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【特集】日本調剤 Research Memo(1):ジェネリック医薬品販売と在宅医療対応の進捗度は業界で最も高い


日本調剤<3341>は調剤薬局の国内トップクラス企業で、調剤薬局事業の売上高では第2位を誇る。自社グループで後発医薬品(以下、「ジェネリック医薬品」)の製造も行っており、メーカー機能を有しているところが特徴的だ。さらに、医療従事者を対象にした人材派遣・紹介事業、情報提供・コンサルティング事業も加え、4事業部門体制で展開している。

調剤薬局事業の成長戦略は店舗網拡大と客単価上昇の2つがカギとなる。店舗展開では同社はM&Aに頼らないオーガニック出店を基本としつつ、店舗の立地や出店タイプにおいては柔軟に対応して需要を取り込む戦略だ。客単価の面ではジェネリック医薬品の販売拡大と在宅医療対応の拡大に注力している。いずれも国が推進する施策であり、保険点数の加算点が高いのがメリットだ。同社はこの進捗度合いが業界内で最も高い状況にある。

医薬品製造販売事業は2013年3月期にセグメント利益が黒字化し、現在は第2の拡大期を迎えている状況だ。2013年4月に長生堂製薬(株)を子会社化し、取扱品目数は自社品・仕入品合わせて600品目に迫りつつある。足元では製造能力拡大に注力中で、2015年3月期中の新棟建設や工場買収に加え、2015年9月にはさらなる新工場の建設を発表した。グループの生産能力は2015年3月末の43億錠/年から156億錠/年へと大幅に増加する計画だ。

医療従事者派遣・紹介事業は売上高構成比は低いものの利益率の高さが効いて利益構成は10%を超え、存在感のある事業として成長しつつある。調剤薬局トップクラスという点も生かして、薬剤師の登録数・実績においては業界トップクラスへと成長している。医師、看護師、コメディカルなどの分野でも登録者数は着実に増加しつつあり、医療業界における働き方の変化も追い風となって、中期的な成長性は非常に高いと期待される。

情報提供・コンサルティング事業へは、2012年1月に子会社(株)日本医薬総合研究所を設立して進出した。調剤薬局事業から得られるビッグデータの活用などを想定したビジネスモデルであり、将来的には4番目の事業として成長していくことが期待されている。

同社は2018年3月期を最終年度とする3ヶ年中期経営計画に取組中だ。主要な目標として、2015年3月期実績対比で、最終年度の売上高を50%増、営業利益を倍増とすることを掲げている。各事業部門それぞれの重点施策目標を着実に実行していけば達成される可能性は十分高いと弊社では考えている。

■Check Point
・「医薬分業」を実現するためにジェネリック医薬品製造に乗り出す
・国が薬局に求める業務に機敏に対応できる店舗運営
・新中計では売上高の50%増、営業利益の倍増などが主要目標

(執筆:フィスコ客員アナリスト 浅川 裕之)

《HN》

 提供:フィスコ

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