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【特集】ケアネット Research Memo(7):ソリューションサービスの拡充と体制強化を進める


■成長戦略

(2)業務提携による体制強化

こうした市場の方向性を見据えて、ケアネット<2150>では2014年後半以降、国内外企業との提携を積極的に進めており、ソリューションサービスの拡充と体制強化を進めている。

○Indegene社(インド、以下インデジン)との提携
2014年11月に業務提携を発表したインデジンは製薬企業向け営業活動支援サービスの世界的なリーディングカンパニーで、欧米、中国などに営業拠点を持ち、大手企業のグローバル本社と数多く取引実績を持つ。従業員数は1,500人と同社の10倍以上の規模となり、医師の資格を持つメディカルライター400人、IT技術者200人体制で、多様なMCMソリューションを提供している。

今回の業務提携によって、インデジンが保有する多様なMCMソリューションのなかから、日本において需要が見込めるソリューションサービスを導入していくことを検討している。例えば、リモートディテーリングシステムについては、使い勝手も良く顧客からの評価も高いと言う。


また、コンテンツ制作に関しても同社が持つ制作ノウハウと、インデジンが持つ専門的なコンテンツに関する制作能力を合わせることで、より質の高い医療コンテンツを迅速かつ低価格で製薬企業に提供することが可能となる。例えば、欧米などで先に承認された医薬品が日本で承認された場合で見ると、インデジンが制作したコンテンツを日本向けにカスタマイズして制作することになる。同社ではこうした提携の効果が顕在化してくるのは2~3年先になるとみている。

○EPファーマラインとの提携
2014年12月にEPファーマラインとeプロモーションとアウトバウンドコールを組み合わせたリモートディテーリングサービス「Medi-Call」を共同開発し、製薬企業向けに提供を開始すると発表した。

EPファーマラインは、EPSホールディングス<4282>の子会社で、医療・医薬に分野のコールセンター事業の国内トップ企業で、Medi-Callは同社のeプロモーションサービス「MRPlus」とEPファーマラインのアウトバウンドコールサービスを組み合わせたリモートディテーリングサービスとなる。両社のサービスが連携することにより、医師に対してより効果的な情報提供サービスを行うことが可能となる。

前述したようにMRの生産性向上が求められるなかで、インターネットや電話を利用した医師への情報提供活動を行うことができるサービスの需要は今後も拡大していくとみられ、今回開発したサービス以外にも新たなサービスを共同で開発していくとしている。

○WebMD Health(米国、以下WebMD)との業務提携
2015年5月に世界最大級の医療情報サイト「Medscape」を運営するWebMDと業務提携を発表した。今回の提携によって6月より同社の医師向けポータルサイト「CareNet.com」にて、「Medscape」のグローバルな医療情報の提供を開始している。

「Medscape」は世界245ヶ国、400万人以上の医師にリーチできるポータルサイトで、その中から厳選した最新医療ニュースや海外学会情報、医療教育プログラムなどのコンテンツを日本語にて掲載する。今回の提携によって、「CareNet.com」への会員数増加が期待され、製薬企業に対するソリューションサービスの付加価値向上が図られるものと予想される。特に、コンテンツ制作に関しては手間がかかるが、今回の提携によってコンテンツの質・量ともに大幅に拡充し、競合他社との差別化要因になるものと考えられる。

○ジェイマックシステムとの提携
2015年5月に国内最大級の医学電子書籍ストア「M2PLUS」を運営する(株)ジェイマックシステムと互いの会員へのサービス案内を目的とした業務提携を発表した。

ジェイマックシステムは医療用放射線画像データシステムの開発販売を行っていたが、2011年より電子書籍の販売を開始し、現在は医学用電子書籍の販売で国内トップ企業となっている。同社のシステムは検索エンジンや編集機能など使い勝手が競合他社よりも優れていることが評価され、シェアを拡大している。会員数は約7万人で特に医学生など20~30代の若い世代の利用者が多いことが特徴となっている。

今回の提携によって、「M2Plus」の会員へ「CareNet.com」を積極的に紹介できるようになり、同社の会員数増加が期待できる。そのため、より一層効果的なeプロモーションサービスを製薬企業に提供できるようになる。また今後も両社で医療教育に関する新サービスの開発も行っていく予定となっている。


これらの提携戦略によって、「CareNet.com」の会員数拡大と同時に、製薬企業へのeプロモーションサービスの拡充が進むことになり、同社の成長力も今後加速化していくことが期待される。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)

《HN》

 提供:フィスコ

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