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【特集】フォトクリエイト Research Memo(2):インターネット写真サービス事業を主力に3つの事業を展開


■会社概要

(1)事業概要

フォトクリエイト<6075>は現在、インターネット写真サービス事業、フォトクラウド事業、広告・マーケティング支援事業の3つの事業を展開している。2015年6月期の売上構成比率を見ると、インターネット写真サービス事業が76.8%と売上げの大半を占め、次いでフォトクラウド事業が21.0%、広告・マーケティング支援事業が2.1%となっており、インターネット写真サービス事業が主力事業となっている。

また、事業構造としては図のとおりとなっており、システムプラットフォームはインターネット写真販売事業、フォトクラウド事業とも共通となっている。

各事業の概要については、以下のとおり。

○インターネット写真サービス事業
インターネット写真サービス事業では、スポーツ大会などの各種イベント開催情報を収集し、主催者からイベントでの撮影許可を得ることから始まる。撮影許可が下りれば契約カメラマンを手配し、イベント参加者などの写真撮影を行い、同社が写真データの収集・整理を行って、数日後に専用のWebサイトに掲載する。イベント参加者は同サイト内で撮影された好みの写真を選択し、注文する流れとなる。

収益構造としては、写真の販売額が売上高となり、カメラマンに対する報酬費用(撮影代)や主催者側に支払う撮影協賛金、プリント費用、システム維持費用などを差し引いたものが粗利益で、粗利益率の水準で見れば50~55%の水準となる。

撮影するイベントはスポーツイベントや学校などの年間行事、地域のお祭りや音楽イベントなど多種多様だが、領域ごとに専門サイトを作ることで、顧客の利便性を高めている。市場領域別の売上構成比(2015年6月期実績)で見ると、マラソン大会などのスポーツ領域が57%と最も大きく、次いで学校や幼稚園など教育領域が25%、お祭りやコンサートなどの文化領域が18%となっている。なお、教育領域については今後、フォトクラウド事業で提携先のラボネットワークが営業活動を行っていくため、同社自らは新規開拓を行っていない。

主力のスポーツ領域では、年間6,000大会を超えるスポーツイベントの撮影を実施している。なかでも大規模なマラソン大会やトライアスロン、自転車大会では約9割のシェアを握り、デファクトスタンダードとなっている。特に、マラソンでは参加人数が1万人を超える規模の大会が複数あり、スポーツ領域の売上高の5割弱を占めている。

同社がインターネット写真販売事業で成長できた要因は、同ビジネスモデルにいち早く着目し、先行的に市場を開拓してきたことに加えて、高品質な写真を撮影するプロのカメラマンの契約数を積極的に拡充してきたことが挙げられる。なお、2015年6月末の契約カメラマン数は1,491名となっており、ほぼ充足してきたことから現在では若手カメラマンのスキルアップに向けた取組みを進めている。

○フォトクラウド事業
フォトクラウド事業は、写真館・撮影事業者向けに同社のインターネット写真販売システムを提供するサービスとなる。契約した写真事業者が学校や結婚式場などのイベントで撮影した写真を、フォトクリエイトが運営する学校写真専門サイト「スナップスナップ」やウェディング専門サイト「グロリアーレ」に掲載し、同社が最終顧客からの注文を受け、発送・決済する流れとなる。

収益構造としては、通常のASPサービスと違って月額のシステム利用料金は徴収しないため、売上高は写真の販売額のみとなる。一方、費用としてはシステム維持費用やプリント・発送費用などのほか、写真事業者に販売額の一定料率を支払うレベニューシェアが含まれることになる。固定費としてはシステム維持費用のみであるため、費用の大半は変動費となる。

なお、教育領域に関しては2015年6月期第4四半期(2015年4月?6月)から売上計上方法を変更している。具体的には売上高を従来の総額表示(写真販売額)から、レベニューシェアやプリントなどを除いた純額表示(システム提供及びノウハウによる収益)へと変更した。

市場領域別の売上構成比では、教育領域が65%、ウェディング領域が35%となっている。粗利益率は約30%とインターネット写真サービスと比較して低いが、これはイベントの獲得を写真事業者自身が行っていることによる。ただ、教育領域の売上計上方法を純額表示に変更したため、今後は上昇することとなる。なお、2015年6月末時点の教育領域における契約写真事業者数は1,259社で、2015年6月期に契約した写真事業者110社のうち、ラボネットワーク経由の契約先数は53社となっている。

○広告・マーケティング支援事業
広告・マーケティング支援事業では、同社のWebサイト上におけるネット広告販売収入のほか、顧客企業の販促支援活動を行っている。例えば、マラソン大会に参加した写真購入者に対して、スポンサー企業の販促商品を写真と同梱して送るサービスなどを行っている。現時点では、インターネット広告収入が3割程度を占めるほか、主力事業の付帯サービス的な位置付けでもあり、売上高は小さいものの収益性の高い事業となっている。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)

《HN》

 提供:フィスコ

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