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2015年10月13日08時10分

【経済】大衆迎合政治は大きなリスク


政治が大衆迎合的(ポピュリズム)になると経済的に間違った政策が行われる例は多い。記憶に新しいのは米国のリーマン・ショック時に、「ウォール街を救うために税金を使うのはけしからん」という世論におされて、金融安定化法案が否決された。後に再可決されたが、否決されたことで金融政策への不信感も一気に高まり、世界中から「信用」という信用が消滅し金融危機は破滅的なレベルに突入した。リーマン破綻時よりも金融安定化法否決時の方が株価などの暴落や金融市場の混乱は激しかった。
 日本でもバブル崩壊時に「庶民が家を買えなくなるのはけしからん」という世論やマスコミの騒ぎにおされて、急激な引き締めを行ったことで、バブルを破滅的に叩き潰すことになった。その後の金融機関への資本注入に際しても、米国のリーマン・ショック時と同じく、「税金で金融機関を救うのはけしからん」という声におされて資本注入が遅れ、バブル崩壊の影響がさらに長期に及ぶことになった。
 その時々の雰囲気や世論におされて政治の意思決定が行われると、経済的には大きく間違ったことが行われるリスクがある。
 本物の政治家とは国民に人気がなくても、国益や将来的な観点からみて正しい政策を実行できる政治家だ。ほとんどの民主主義国家で直接民主制ではなく間接民主制がメインの意思決定システムとして採用されているのは、一時の熱狂で偏る「拍手と喝采」の政治ではなく、選良による賢明な判断のほうが結果として正しい選択ができるという歴史的な経験に基づく。
 ポピュリズムによる経済的に誤った政策が実行されるリスクは常に存在する。政治家は国民の人気にないことを行ったことで次の選挙で落選することを最も恐れているからだ。
 最近では日本の消費増税の軽減税率論議がこれにあたるといえよう。食料品等に軽減税率を適用する弱者や低所得者に優しい政策というと聞こえはよいが、システムコストや業者のコストを考えると結局国民の負担が増える可能性がある。また、軽減税率を適用する線引が難しく、利権の温床となりこのコストも国民に跳ね返ってくる可能性がある。  
 また、米国でヒラリー・クリントン氏がTPPに反対したり、金融市場の規制を引き締めようとしているのもポピュリズムの典型といえよう。従来の主張を曲げ、大統領選で勝利しようとして目先の人気取りの主張をしているのはいただけない。
 結局、正しい政策が行われるためには、国民一人一人が一時の趨勢に流されたりマスコミの煽りに乗らず、冷静に正しい政策を考えて行動する必要があるが、これはこれで非常に難しいことだ。
 時代が変化しても、民主主義国家の大衆迎合政治は大きなリスクとして存在し続け、これを避ける有力な手段は見当たらない。
《YU》

 提供:フィスコ

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