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【特集】古田千明【米国株】秋の相場観特集_02 /NYダウは年内1万8000ドル目指す

古田千明氏
むさし証券・営業企画部エグゼクティブアドバイザー 古田千明氏

 9月の雇用統計がさえなかったように、米国も外部環境悪化の影響を免れてないようだ。しかし、一方で9月の自動車販売が年率換算で10年振りの高水準になるなど国内消費の基調は強い。輸出が伸び悩む製造業は勢いに欠けるが、内需中心の非製造業は引続き堅調といえる。S&P500指数の時価総額シェアを見ると、非製造業は60%程度になっている。米国株式市場は好調な内需が支えになるだろう。

 雇用統計の結果を受けて一気に利上げムードが吹き飛んでいる。このデータだけでFRBが年内利上げを断念するとは思われないが、不透明感は残る。ただ、「利上げ」は既に言い古されたテーマであり、ある意味実態景気の遅行指標でもある。利上げの可能性がなくなるほど景気が悪化しない限り(その可能性は小さいと思われるが)、市場にとって実施時期の遅速は大きな問題にならないか。

 10月初旬から米企業の第3四半期決算が発表される。10月2日時点で前年同期比7%程度の減益予想になっている(エネルギー関連企業を除くとほぼプラス・マイナス0%、ブルンバーグ調査)。上方修正が通例であるが、現状市場の期待値は低く、ポジティブ・サプライズに反応しやすい地合いに見える。

 世界景気減速懸念は根強いが、これ以上スパイラル的に悪化する理由は見当たらない。火元の中国でも、政策対応などにより不動産価格は持ち直しつつあり、株価も落着きを見せている。パッとしない景気指標は今後とも出てくるかもしれないが、株価はある程度織込み済か。

 米国株式市場が下落に転じてから既に2カ月を経過した。ユーロ危機に揺れた2011年後半のように、過去の大きな調整局面でも2カ月程度で底値圏を脱している。どんな下落相場でも時間が解決する側面があるが、その意味で日柄整理は十分こなして来たといえる。

 今秋から年末にかけて、米国株式市場は曲折を経ながらもNYダウ1万8000ドル台に向けて反転上昇の展開を予想する。

<プロフィール>

1977年京都大学経済学部卒業。日本債券信用銀行証券投資室長、同ニューヨークキャピタルマーケット室長、トヨタアセットマネジメント チーフインベストメントオフィサーなどを歴任。2011年より現職。機関投資家としての内外運用経験が長い。

編集企画:株経通信(株式会社みんかぶ)   【秋の相場観】特集より

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