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【特集】ソーバル Research Memo(8):アンドール子会社化により顧客基盤を拡大、医療や金融でもM&Aを進める


■事業拡大戦略

○M&A
ソーバル<2186>は、エンジニアリング事業の拡大のために既存の事業領域とは違った新しい領域のビジネスへの進出を成長戦略の柱の1つにしている。同社はこれをM&Aによって実現しようとしており、「新機軸のM&A」と位置付け、買収先を探している。アンドール社はこの戦略にのっとった3件目のM&Aである。

アンドール社に関しては、2つの大きなメリットを期待している。第1は、アンドール社が事業を行っている領域への顧客拡大である。念願の自動車分野への進出が果たせるほか、生産ライン・物流搬送設備関連市場への事業拡大も期待できるとしている。第2は、関西への進出である。ソーバルの関西でのビジネスは現状ではゼロに近い。アンドール社は関西に支社を持っており、子会社化後は、この関西支社をソーバルの関西拠点に位置付ける。当面、ソーバルからの人材派遣は行わず、アンドール社を通じて関西で受注した案件を東京で開発するという形を取り、事業を着実に拡大していく。

2016年2月期第2四半期では、既に説明したように顧客の拡大という面では早くも貢献している。しかし、利益面での貢献はまだ先になりそうだ。大きな理由はソフトウェアだけでなく、自動車産業向けなどの自動計測システムといったハードウェアも扱っている点にある。ソーバルの主力事業であるファームウェアの開発と違い、ハードの販売は景況に左右されやすい側面があるため、利益面での不安定さが否定できないとしている。ただ、ソーバルとしては、同社がすぐに利益貢献することを初めから期待していない。むしろ、時間をじっくりとかけて、買収によって得た新規顧客層の深堀と関西への市場開拓を進めて行くのを基本方針としている。ちなみにアンドール社の2014年8月期の売上高は687百万円、当期純利益は5百万円で、そもそもソーバルの連結業績に直接、大きな影響を与える規模ではない。

M&Aは今後も積極的に行っていく方針を継続する。買収条件として、事業継承者がいない、営業力が不足している、年商3?20億円規模とし、医療、金融サービス、航空・宇宙、介護・災害向けロボットの各分野を具体的なターゲットとしている。また、これら分野への進出の重要度も定め、上記の順で買収先を発掘していくという。M&Aのペースも本来の「1年に1件の割合での買収」という目安を維持するとしている。

○新規事業領域
新領域への事業拡大をM&Aだけに頼るのではなく、グループ内でも新ビジネスを生み出すことによって実現しようという新事業戦略も進めている。2015年2月期には、医療分野への進出を果たした。2016年2月期第2四半期では、X線デジタル撮影装置制御システム、眼底カメラ制御アプリ、新薬の治験データ統計解析などの領域へ本格的に参入した。特にX線デジタル撮影装置制御システムと眼底カメラ制御アプリはデジタルカメラのファームウェア開発でもともと得意な分野であるため、着実に売上を拡大している。

新規事業領域に関しては、これらの他、Android?iOSアプリや、モバイルアプリの連携システムの開発なども進めている。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 柄澤 邦光)

《HN》

 提供:フィスコ

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