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【特集】ソーバル Research Memo(4):本社移転や人材の効率的な活用による業務効率化が利益に寄与


■2016年2月期第2四半期連結決算

(b)利益
増益要因の最大の理由は、業務の効率化が進んだことである。売上高営業利益率が8.9%と前年同期に比べ1.0ポイントも増加、ソーバル<2186>が安定成長に欠かせないとしている7%台を越える水準となった。営業利益率の増加率の高さに関しては、前年同期に本社の移転費用が計上されたため営業利益率が低下した反動という側面もあるだろうが、2014年2月期第2四半期と比べても0.2ポイント上昇しており、業務効率化が進展していることは間違いないと言えよう。

業務効率化は以下の2点によって実現した。第1は本社の移転である。2014年6月に本社を東京都大田区から品川区北品川に移転し、同時に大田区に2ヶ所、神奈川県川崎市の川崎区と幸区に1ヶ所ずつあった事業所のうち、川崎市の2ヶ所を本社に集約した。これによって、エンジニアや営業社員など約200人が1ヶ所で業務を行う体制となり、情報・ノウハウの共有化が急速に進み、ソフトウェア開発の受託案件の作業が想定を上回って効率化された。

第2は、人材の効率的な活用である。同社では、本社内はもとより、子会社を含めたグループ全体で受注を融通し合って作業を進めている。本社が受注した案件を子会社で作業し、その反対のことも普段から行われているという。組織の垣根を越えて、比較的余裕のある部門に仕事をすぐに回せるという組織の柔軟性が業務効率を高めているのである。口では簡単なことに見えるが、一般的にエンジニアはセルフスターターが多く、自分の本来の仕事以外はあまりやりたがらない側面があることは否定できない。同社のような人材活用ができる企業は決して多くない。

なお、増益要因としては、前年同期に本社移転費用として約48百万円を計上したことに伴う反動という側面があるのではないか、という推察もあるだろう。しかし、一方で、RFID事業の売却による減益要因がある。さらに、後ほども触れるが、子会社になったアンドール社は利益面ではまだ貢献度が低く、グループの利益に対しては、販管費の増加による減益面への影響が強いようである。ちなみに、販管費の総額は前年同期比で55百万円増加している。RFID事業の営業利益やアンドール社だけの業績は公表されていないため、減益要因の金額は不明であるが、少なくとも、増益が本社移転に伴う減益の反動によるものであるとは言えないだろう。

なお、このような効率的な業務体制の中で、同社のエンジニアの年間稼働率は98%という高いレベルを維持しており、この点も利益率の上昇要因の1つと言えるだろう。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 柄澤 邦光)

《HN》

 提供:フィスコ

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