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【特集】MDV Research Memo(1):DPC病院向けソフト導入数とDBの患者数で圧倒的No.1


2003年に設立されたメディカル・データ・ビジョン<3902>は、医療や健康分野のICT化を推進し、情報の高度活用を図ることで、生活者のメリット創出に貢献することを目指している。事業内容は、各種システムの提供を通じて医療・健康データを集積する「データネットワークサービス」と、集積したデータを活用する「データ利活用サービス」に分かれる。

飛躍のきっかけは、2003年に特定機能病院に導入された、急性期入院医療を対象とする診断群分類に基づく1日当たり包括払い制度、いわゆるDPC制度だ。DPC制度下では、全国統一形式で患者臨床データが入力される。同社は、DPCデータを分析するパッケージソフト「EVE」を開発。「EVE」を導入した医療機関から許諾を得て、DPCデータをデータベース化している。顧客である医療機関は、在院日数、症例数、合併症の発症率などの臨床指標のほか、増減収、原価管理などの経営指標を、ベンチマーキング機能で他院と比較・分析し、医療の質と経営の両立に役立てる。2015年6月末のEVE導入数は741病院、市場シェア44.3%と圧倒的No.1を誇る。また、病院全体の経営分析が可能な病院向け経営支援システム「Medical Code」は、143病院が導入している。成功要因は、有用な規模までデータベースを拡大しただけでなく、それを顧客が診療及び経営改善のために利活用できるようなノウハウを作り上げたことにある。

データ利活用サービスにおける強みは、2次利用が可能な診療データベースの規模が2015年9月末時点で208病院、患者数1,166万人と日本最大規模であることだ。同社がユーザである製薬会社等の要望に応じてデータ分析をするアドホック調査サービスは、成長が著しい。今期に入って、OTC医薬品会社や食品会社を対象にも各種データサービスの提供を始めた。

2014年12月期の売上高構成比は、パッケージソフトとメンテナンスなどのデータネットワークサービスが62.2%、データ利活用サービスが37.8%であった。売上高は前期比27.5%増の1,950百万円、経常利益が同18.1%増の248百万円となった。

2015年12月期には売上高で前期比34.4%増の2,622百万円、経常利益で同5.5%増の262百万円が予想されている。期中に3つの新サービスを投入するため、先行投資負担が利益の伸びを抑える。将来、同社の価値を最も高めると期待されるのが、デジタル健康ソリューションの「エースビジョン」だ。リアルタイム性が高く、より広範囲の診療情報の集積を可能にする。今期中に、3病院の導入が決まっている。

■Check Point
・豊富な実証データに基づく医療の実現を目指して事業を展開
・診療データベースがカバーする患者数が、1,166万人に達する
・広範囲な診療情報をリアルタイムで蓄積する「エースビジョン」

(執筆:フィスコ客員アナリスト 瀬川 健)

《HN》

 提供:フィスコ

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