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【通貨】欧米為替見通し:新興国通貨の本格的な反発には商品価格の回復が必要


今日の海外市場では、足元続いていた新興国通貨の買い戻しは一巡すると予想する。新興国経済のファンダメンタルズなどに好材料が見当たらないことから、新規の買いは入りにくく売られすぎた通貨が値を戻す程度にとどまりそうだ。

2日に発表された米雇用統計の想定外の悪化を受け、利上げ後退観測から新興国通貨選好の地合いが続いている。このうち、インドルピーや南アランド、ロシアルーブルが対円で強含む格好に。欧米株高の流れが続けば、リスク選好でこうした新興国通貨に買いが続くと市場ではみられているほか、日銀による追加金融期待も相場の押し上げ要因と見込まれる。

新興国通貨のうち、ランドは9月29日に年初来安値8円43円まで下落した後に反発。週明け以降、2%近い上昇をみせている。また、ルピーは8月24日に年初来安値1円75銭まで下落した後はもみあっていたが、インド準備銀行(中央銀行)が9月29日に市場予想を大きく上回る利下げを実施したことで、株高を見込んだルピー買いに振れ、週明け以降はそのトレンドがさらに強まった。一方、ルーブルは原油安を背景に6月以降は下落基調となり、8月24日に年初来安値1円64銭まで下落。その後は下げ渋り、米雇用統計発表後は足元5%超上昇している。

ただ、新興国通貨はリバウンドが見られるものの、足元のファンダメンタルズはさえない。南アは、9月30日に発表された貿易収支が予想を大幅に下回ったほか、インドも前月発表された鉱工業生産など経済指標は予想を下振れ。また、ロシアも春以降の原油安で経済回復のペースが鈍化しているほか、シリア空爆で米国との関係を改善できず、ウクライナ問題の制裁解除につながらないといった問題を抱える。新興国通貨の夏以降の弱含みは、商品価格の下落に影響された側面が大きい。今後、商品価格が本格的な回復に転じないと新興国通貨の相場を押し上げることは難しいとみる。


【今日の欧米市場の予定】

・21:30 米・8月貿易収支(予想:-480億ドル、7月:-418.6億ドル)
・21:30 加・8月貿易収支(予想:-12億加ドル 7月:-5.9億加ドル)
・22:15 ジョージ米カンザスシティー連銀総裁基調講演
・23:00 IMF世界経済見通し
・02:00 ドラギECB総裁講演
・02:00 米財務省3年債入札(240億ドル)
・06:30 ウィリアムズ米サンフランシスコ連銀総裁講演
・中国株式市場は国慶節のため休場(7日まで)

《SY》

 提供:フィスコ

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