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【経済】TPP大筋合意で今後どうなるのか?


 報道各社はTPP協議の進捗状況について、以前から「月内までに大筋で合意に達するかどうか・・・」といったように「大筋合意」という表現を使用してきた。参加12カ国が合意できたのだから「大筋合意」というあいまいな表現を使用せず、「合意」と報じても問題ないように思えるが、実際はどうなのだろうか?

「大筋で合意」に達してもそれで全てが決まるわけではない。フロマン米通商代表は「TPP合意で次のステップは米議会との緊密な協議」、「大統領貿易促進権限(TPA)では合意が署名される前に議会との90日間の協議期間を義務付けているため、署名は2016年に持ち越される」、「合意内容を検討するためのブリーフィングで次のステップについて話をする」と述べており、実際に施行されるまでには、米国側でもいくつかの手続を経ることになる。

 米国内では民主党議員に反対者が多いことから、協議期間中にいくつかの問題点が浮上していくる可能性が高い。また、カナダではハーパー政権が近く行われる選挙で負ける可能性があり、支持率を伸ばしているNDP関係者は「選挙に勝った場合、現政権が締結したTPP合意にしばられない」と明言している。

 TPP締結で最も利益を受けるのは米国であることに疑いないが、日本は途中から、米国をサポートするために協議の調整役に徹した感がある。各国代表が国益のために頑張っている姿とは対照的だ。今後、安保関連法制とTPP大筋合意の2点について安倍政権に対する批判が再び高まる可能性がある。TPPに対して株式市場は過大評価しているように思えるが、合意内容を精査することも必要だろう。
《MK》

 提供:フィスコ

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