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2015年10月05日14時40分

【特集】馬渕治好【ストラテジー】秋の相場観特集_05 /二進一退の上昇軌道へ

馬渕治好氏
ブーケ・ド・フルーレット代表 馬渕治好氏

 日経平均株価を一時1万7000円割れに押し込んだ主要因は、海外発だ。米国経済は堅調を持続しており、連銀の利上げはいつ行なわれるにせよ、その後の引き締めペースは極めて緩やかと見込まれるため、不安視する必要はない。しかし、一時の高PERの調整が必要であったうえ、不必要に利上げのタイミングを騒ぐ向きが多く、不透明感が強まった。加えて中国経済の悪化は着実に進んでおり、欧州でもフォルクスワーゲン社のスキャンダルなどが上乗せされた。

 需給面では、海外株価や商品市況が下落することで損失を被った海外短期筋が、日本株も売りを余儀なくされた形だ。NYダウが8月下旬の安値を割り込んでいないのに日経平均が割り込んだのは、日本株が外国人売りに脆弱であり、いわゆる「クジラ」説が幻想であることを示した。

 今後も、米景気は堅調で、利上げを巡る「空騒ぎ」も薄らごう。日本から中国向け輸出(輸出総額の約18%)は悪化しようが、日本から輸出する中間財(電子部品、液晶部材など)を中国で組み立てて他国に輸出している分については、最終需要国の景気が悪化しなければ、影響を受けにくい。

 国内に目を転じれば、輸出の伸び悩みを主因に足元景気はもたついており、7~9月の実質GDP前期比は2期連続マイナスの恐れも強まっている。しかし緩やかながら雇用は改善しており、徐々に個人消費が底上げされると期待できる。今年度の企業増益が覆るわけでもない。

 日銀の追加緩和の可能性は薄いと見込むし、目の覚めるような経済対策が打ち出されることもなく、株価の急騰はないだろう。それでも実体経済や企業収益の地道な改善に沿って、不安心理が残りながらも、日経平均株価は二進一退的な上昇軌道をゆっくりたどり、今年内の2万円奪回はありうると考えている。

 実態面では内需株に魅力があるが、先行して買われ過ぎたため、株価が一休みしたところで押し目を拾いたい。輸出系では、北米関連の自動車・自動車部品、インフラ輸出関連セクターが、有望だと考えている。

<プロフィール>

1981年東京大学理学部数学科卒、1988年米MIT修士課程終了。米国CFA(証券アナリスト)。マスコミ出演は多数。10月2日に近著「ゼロからわかる 時事問題とマーケットの深い関係」(金融財政事情研究会)発売。日本経済新聞夕刊のコラム「十字路」の執筆陣のひとり。

編集企画:株経通信(株式会社みんかぶ)   【秋の相場観】特集より

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