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【通貨】欧米為替見通し:米雇用統計が上振れでも、利上げ期待のドル買いは一時的


今日の欧米市場では、米雇用統計が焦点となりそうだ。米金融当局者が早期利上げの可能性に言及していることを背景に、指標が堅調ならドル買いに振れよう。ただ、世界経済の失速懸念が広がりつつあることから、利上げムードは盛り上がらず、ドル買いは一時的と予想する。

21:30に発表される米・9月非農業部門雇用者数は20万人、失業率は5.1%と予想される。8月の非農業部門雇用者数が17.3万人と、雇用の持続的な回復の目安とされる20万人を下回ったことで雇用情勢が悪化したと市場に受け止められた。しかし、ここ数カ月間は前月分実績が連続して上方修正されており、今年に入って平均すると20万人を上回っていることから、8月分がどのぐらい上積みされるかを注目する。

市場では、雇用者数が20万人超ならドル買い、逆に20万人割れなら売りと予想される。ただ、平均賃金がカレンダー要因で下振れることで、ある邦銀関係者は「賃金の上昇を背景にインフレが上昇していくサイクルにならないと、いくら雇用者数が増加しても米連邦準備制度理事会(FRB)は利上げに踏み切らないのではないか」と指摘する。

また、世界経済の先行きに不透明感が広がりつつあることも、米利上げに懐疑的な見方を強める要因だ。例えば、前日発表された中国の9月製造業購買担当者景気指数(PMI)が49.8と景気判断のポイントとなる50を下回った。また、9月23日のユーロ圏の9月製造業PMIのように、50を上回っても前月を下回るケースが目立つ。先行指標となるPMIの弱含みが意識されていることから、先の邦銀関係者は「FRBは利上げ時期を逸した」とみている。

こうした点を踏まえると、今日の欧米市場で米雇用情勢の改善が示されたとしても、ドル・円はせいぜい120円半ばまでにとどまりそうだ。逆に、改善が示されなかった場合、日銀の追加金融緩和が意識されることから、過度なドル安・円高にも振れず、結果的に119円半ばが下値のメドとなろう。


【今日の欧米市場の予定】

・18:00 ユーロ圏・8月生産者物価指数(前年比予想:-2.4%、7月:-2.1%)
・21:30 米・9月非農業部門雇用者数(予想:+20万人、8月:+17.3万人)
・21:30 米・9月失業率(予想:5.1%、8月:5.1%)
・23:00 米・8月製造業受注指数(前月比予想:-1.2%、7月:+0.4%)
・01:30 ブラード米セントルイス連銀総裁講演(金融政策)
・02:30 フィッシャー米FRB副議長講演(金融政策)
・中国本土株式市場は国慶節のため休場(7日まで)

《SY》

 提供:フィスコ

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