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【特集】全国保証 Research Memo(1):独立系の信用保証最大手、16年3月期も過去最高業績を見込む


全国保証<7164>は、独立系の信用保証最大手である。銀行や信用金庫、信用組合など全業態の金融機関との提携による住宅ローン向け保証業務を柱とし、沖縄を除く全国に展開している。住宅ローン向けの保証業務に特化することにより、関連するデータやノウハウの蓄積を図ることで、迅速かつ精度の高い審査能力やリスク・リターンに見合った合理的な料率設定などによる精緻な与信管理に強みがある。外部保証を活用することによる業務の効率化や与信管理の強化を目指す提携金融機関の拡大とともに、同社業績も順調に伸長してきた。2015年3月期末の保証債務残高は9兆1,597億円、提携金融機関は709機関に上る。

2015年3月期の業績は、営業収益が前期比9.1%増の29,507百万円、営業利益が同62.5%増の22,380百万円と期初計画を上回る大幅な増収増益となり、過去最高の営業収益、営業利益を更新した。地銀やメガバンクを含めた提携金融機関の増加とともに保証債務残高が順調に拡大したことが増収に寄与した。また、大幅な営業増益となったのは、与信関連費用が想定を大きく下回ったことに起因するものである。

2016年3月期の業績予想について同社は、営業収益を前期比4.5%増の30,840百万円、営業利益を同1.6%増の22,730百万円と引き続き増収増益を見込んでいる。

同社は、2017年3月期を最終年度とする中期経営計画「make good “TEN”」を進めているが、計画公表時点と比べて、与信関連費用が低位に推移する見通しとなったことから、当初計画を増額修正した。2017年3月期の目標として、保証債務残高10兆3,520億円を目指すとともに、営業収益32,680百万円、営業利益23,170百万円を計画している。

弊社では、未開拓先が残る銀行業態を中心に提携金融機関を増やすことで、住宅ローン向けの保証債務残高を伸ばす余地が大きいことなどから、中期経営計画の達成は十分に可能であると判断している。また、前期における三菱東京UFJ銀行(三菱UFJフィナンシャル・グループ<8306>)との提携開始のように、大手地銀やメガバンク等との新規提携や取引の深耕が進むことで、保証債務残高の拡大に拍車がかかる可能性も考えられるため、その動向に注目したい。

■Check Point
・提携金融機関を増やすことで着実に事業基盤を拡大
・過去5年間の営業利益の平均成長率は44%と高い伸び
・16年3月通期は引き続き過去最高業績を見込む

(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田 郁夫)

《HN》

 提供:フィスコ

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