市場ニュース

戻る
 

【市況】米国株式市場見通し:雇用統計やISM製造業景況指数に注目


今週の講演で、イエレンFRB議長はエネルギー価格や輸入物価の影響が薄れるに伴い、インフレ率が回復するとの見方を示した。また引き続き、年内の利上げ開始が妥当との認識を示し、金融政策の先行き不透明感や米景気に対する懸念が後退した。今週は月初に入ることから経済指標の発表が多数予定されているが、予想を上回る強い内容となれば年内利上げが現実味を帯び、相場にも強く反映されるだろう。また、翌週からの7-9月期決算発表シーズンを前に業績修正の発表が飛び出しやすい時期に入ることに留意する必要がある。

経済指標では、8月個人所得・支出(28日)、9月消費者信頼感指数(29日)、9月ADP雇用統計(30日)、9月ISM製造業景況指数(1日)、9月雇用統計(2日)などの発表が予定されている。最大の注目点である雇用統計は、失業率が5.1%への低下、非農業部門雇用者数は20万人増が予想されている。また、9月ISM製造業景況指数は、8月に約2年ぶりの低水準となり予想を下振れたことから、やや慎重な見方が広がっている。海外経済の減速による影響を受けやすい製造業は利上げ判断において重要な指標となるが、8月の鉱工業生産指数や設備稼働率も低調に推移しており、9月の製造業活動は後退した可能性が高い。

個別企業では、会員制卸売のコストコ・ホールセール(29日)、半導体のマイクロン・テクノロジー(1日)などの決算が予定されている。コストコの3-5月期決算は会費収入の増加を受けて好調となったが、為替相場の影響を受けた海外既存店売上高の落ち込みが目立ったほか、既に発表されている同業メーシーズやウォルマート決算も低調であったことから警戒が必要だ。また携帯端末のアップルが25日にiPhone 6sシリーズの販売を開始しており、週末の販売台数の発表が注目される。

来週は債務上限問題の行方が焦点となりそうだ。妊娠・出産などに関するサービスを提供する民間非営利団体のプランド・ペアレントフッドが、中絶された胎児の臓器を不正販売していた問題で、共和党は同団体への連邦助成金打ち切りを主張しており、予算案協議が難航している。助成金の支給注視が予算案に盛り込まれる場合は、オバマ大統領は拒否権を行使する意向だ。16年度予算で合意が得られない場合は10月1日から連邦政府機関の一部サービスや機能が停止する可能性がある。先月に議会予算局(CBO)が今年の11月中旬か12月初旬までは資金を捻出できる見通しを示しており、当面の影響は限定的となる可能性が高いが、民主党オバマ政権に対して上下院議会は共和党が掌握しており、膠着状態が長期化すれば株式相場も不透明要因として嫌気するだろう。

(Horiko Capital Management LLC)

《FA》

 提供:フィスコ

株探からのお知らせ

    日経平均