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【特集】ダイキアクシス Research Memo(6):水処理マーケットに関連する民間設備投資を積極的に取り込む


■経営戦略

ダイキアクシス<4245>は、利益への貢献度が高い環境機器関連事業の売上高を伸ばす経営戦略をとっている。

環境機器関連事業の重点地域の営業戦略として、浄化槽の需要が多い埼玉県、千葉県、静岡県などに出張所や営業所を新設し、専門営業員を配置している。

家庭用浄化槽は、し尿(便所からの汚水)のみを処理する単独処理浄化槽と、し尿及び生活排水(風呂、台所、洗濯、洗面所)を一緒に処理する合併処理浄化槽に分かれる。単独処理浄化槽は、雑排水が未処理のため水質汚濁の原因になっており、2001年4月以降、新設が禁止された。単独処理浄化槽は、合併処理浄化槽に比べて水の汚染を表す指標のBOD(Biochemical Oxygen Demand:生物化学的酸素要求量)の排出量が8倍にもなる。一方、合併浄化槽の処理能力は、下水処理場並みのレベルまで向上した。

2013年3月末に設置されている日本の浄化槽は776万台、うち単独処理浄化槽は58.4%、合併処理浄化槽が41.6%を占めた。下水道等の計画がない地域に設置されている単独処理浄化槽は、合併処理浄化槽への転換が順次進められている。ただ、住民の環境意識の高まりにのみ依存していたのでは、合併処理浄化槽への転換は遅々として進まないのが現状だ。2012年度の新規浄化槽の出荷は、約13万台でしかない。仮に既設の単独処理浄化槽(437万台)の置き換えを加速する法規制や補助金制度が導入されれば、市場が大きく拡大することになろう。

浄化槽システム協会によると、数量で浄化槽の98.7%を占める小規模合併槽(~50人槽)は、2014年の出荷台数が前年比6.9%減の98,448台となった。月次ベースでは、2014年4月から前年同月比増減率がマイナスに陥り、2015年7月まで16ヶ月連続のマイナスとなっている。浄化槽の設置は建築工事の最終時期に行われることが多いため、新設住宅着工の好転が波及してくることが期待される。

同社は、家庭用浄化槽市場の回復をただ待つのではなく、工場や商業関連の水処理マーケットに関連する民間設備投資を積極的に取り込む施策をとっている。2015年より国内大型排水処理案件に絞った専属組織を立ち上げ、これまでとは違った角度から営業に取り組んでいく。最終ごみ処理場の排水処理などをターゲットにしている。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 瀬川 健)

《HN》

 提供:フィスコ

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