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【特集】冨田康夫の「下期の有望テーマと注目銘柄(3)」


「スポーツ庁始動」

●東京五輪視野に関連企業にビジネスチャンス到来!

 秋のスポーツシーズンが到来するなか、10月1日付でスポーツ庁が発足する。同庁は、国民の健康増進を図る健康スポーツ課、選手強化を担う競技スポーツ課など5課と有識者の審議会を置き、長官以下121人体制でスタートする。

 また、同庁は文部科学省の外局として位置づけられ、複数の府省にまたがっていたスポーツ施策を一元化するのが目的。初代長官には1988年ソウル五輪競泳の金メダリストで日本水泳連盟会長の鈴木大地氏が就任することでも話題を集めている。

●スポーツ振興で医療費削減

 既に、開催が4年10カ月後に迫った東京オリンピック・パラリンピックを視野に入れたもので、国民の健康増進や競技の振興などが目的とされている。したがって、国民のスポーツへの関心の高まりに支えられて、スポーツ用品やフィットネス関連などの、スポーツ関連株にはビジネスチャンスの拡大が予想される。

 また、スポーツの振興は、超高齢者社会が到来するなかで、予防医学の面からも極めて有望視されており、高齢者を中心とした医療費削減の観点からも国策の後押しが強まることが予想される。

●2020年の国内スポーツ総生産は14兆円

 今後、20年の東京五輪が近づくとともに、スポーツ関連マーケットへの注目度は高まることは必至だが、日本政策投資銀行はGDSP(国内スポーツ総生産)という数値を算出し、今後の市場規模を予想している。GDSPはスポーツの興行や小売り、ゴルフ場やスキー場などの施設関連収入、放送や関連書籍の販売料など、スポーツに絡む幅広い分野をまとめたもの。そのGDSPは12年の11兆4000億円が20年には14兆1000億円に拡大すると試算されている。

 東京五輪のほか、19年のラグビーワールドカップや20年の東京五輪・パラリンピック、21年の生涯スポーツの世界大会である関西ワールドマスターズゲームズなど、国際大会の開催が続き、国内スポーツ市場の活性化が予想されている。

●「スポーツ庁」関連の注目銘柄は?

★アルペン…16年3月期業績はV字回復

 アルペン <3028> は、スポーツ用品専門店業界トップで、総合スポーツ用品の「アルペン」、ゴルフ用品専門店の「ゴルフ5」などを全国展開している。16年3月期の連結業績は、消費増税の影響の一巡と、在庫の適正化による粗利益率の改善もあり急回復する見込み。16年6月期の連結業績は、売上高2341億5600万円(前期比6.9%増)、営業利益60億6000万円(同93.6%増)と利益のV字回復を見込んでいる。株価は9月に入って、底打ち反転上昇を鮮明にしている。

★東祥…スポーツクラブを2020年には100店体制へ

 東祥 <8920> は、「ホリデイスポーツクラブ」の運営を主体に、ホテル、賃貸住宅も手掛けている。最近は都市部への出店も強化し、これにより会員数が順調な増加をみせている。スタジオプログラムを充実させることで退会率抑制にも成功しており、安定成長基調にある。また、ホテル事業はビジネス客や訪日外国人需要取り込みなどにより、今後も順調な成長が見込まれる。16年3月期の連結営業利益は48億円(前期比11.5%増)を予想。スポーツクラブの店舗展開は、16年3月末に66店舗の出店を見込み、20年には100店体制となる見通しだ。

★ゴルドウイン…人工合成クモ糸素材実用化で提携

 スポーツウエアを展開するゴルドウイン <8111> は9月8日、Spiber(スパイバー、山形県鶴岡市)と事業提携を行うことを発表した。新世代高機能素材として期待されている人工合成クモ糸素材の開発に成功したベンチャー企業であるSpiberと、スポーツアパレル分野における独占的業務提携を行い、共同で新世代の製品開発を進める。その開発を加速させ早期実用化を図るためSpiberに対して30億円の出資を行う。強靭で伸縮性に優れ、原料を枯渇資源に依存しないバイオマス由来の人工合成クモ糸素材に注目が集まっている。

★日本スキー…日本スキーはイベントで集客促進

 日本スキー <6040> [東証M]は、日本駐車場開発の子会社で、白馬八方尾根など国内有名スキー場の運営を手掛ける。同社は16年7月期の連結業績予想を売上高65億5900万円(前期比11.5%増)、営業利益10億3500万円(同14.3%増)と見込んでいる。冬季は、スキー場の来場者増を目指し、スノースポーツを楽しむ潜在顧客が集まるスポーツ店や大規模なスノースポーツイベントでの営業活動を促進させる。

情報提供:日刊株式経済新聞

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