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【特集】冨田康夫の「下期の有望テーマと注目銘柄(1)」


「マイナンバー制度」

●10月から通知カードの配布スタート

 国民に番号を割り当て、行政手続きに活用するための「改正マイナンバー法」が9月3日に衆院本会議で成立し、来年1月からのマイナンバーの本格活用が進む見通しとなった。この制度は、国民一人ひとりに12ケタの番号を割り振り、年金、医療、納税などの行政手続きを一つの共通番号で効率的に管理するもの。

 制度自体は来年1月からスタートする見込みだが、10月から通知カードの配布が開始される。軽減税率の導入案などとも相まって企業の事務処理負担や小売店の機器導入など越えるべきハードルは高い。ただ、それに伴いシステム構築や管理を手掛ける多くの企業がこの制度を支える立場から活躍場面が広がりそうだ。

●経済波及効果は20兆円の試算も

 システム対応に伴う市場規模は、今後5年間で2兆5000億円~3兆円に達すると予想されているほか、番号の民間開放が想定される19年度以降には、経済波及効果にして20兆円以上という巨大市場が試算され、情報サービス関連企業の将来的な成長余地が改めて注目されそうだ。

●「マイナンバー」関連の注目銘柄は?

★NTTデータ…公共・官公庁関連向けに高実績

 NTTデータ <9613> は、過去に社会保険オンラインシステムや、住民基本台帳ネッワークシステムなど、公共・官公庁関連向けのシステム構築で高い実績がある。同社は、金融機関での顧客や、民間企業の従業員のマイナンバー収集代行サービスの提供を検討している。

 グローバルビジネスは、米国CG社の子会社化や、足元で増え始めている欧州地域での受注獲得実績などが今後の他の地域における受注獲得、収益向上につながっていく可能性がある。

★セコム…地銀57行と支援業務で提携

 セコム <9735> は9月1日に、企業のマイナンバー対応支援で、横浜銀行、静岡銀行など地方銀行57行と業務提携を行うと発表した。この提携を含め、セコムは、来年1月時点で600万人超のマイナンバーを預かる見込みとしている。各行から取引先の紹介を受け10月から通知が始まる番号の収集、管理などをセコムが一括代行する。また、民間企業に課せられるマイナンバー対応をトータル支援する「セコムあんしんマイナンバーサービス」の販売を開始するなど、業容拡大が期待される。

★ODK…事務代行サービスを開始

 ODK <3839> [JQ]は9月9日に、金融機関向け「マイナンバー事務代行サービス」の提供を開始すると発表した。需要の増加などが見込まれている。このサービスは、各金融機関に代わって顧客のマイナンバー収集および管理に関するすべての事務を代行。また、要望に応じてマイナンバー管理システムも提供するという。

★PCNET…情報セキュリティー対策で貢献

 PCNET <3021> [東証M]は、情報セキュリティーのニーズ拡大が追い風となりそうだ。来年1月から開始されるマイナンバー制度では情報漏洩対策が非常に重要となり、同社が手掛けるIT機器処分やデータ消去サービス、消去証明書サービス、セキュリティー製品レンタルサービスなどの需要増が期待される。また、中古モバイル市場が拡大するなか、タブレットやスマホなどの仕入れを強化していることも注目点。成長事業への積極的な取り組みで、16年5月期通期の連結営業利益は3億1000万円(前期比36.3%増)を見込んでいる。

★アイネス…自治体の電子行政をサポート

 アイネス <9742> は、マイナンバー制度の導入に伴って求められる住民サービスに対応した自治体の電子行政をサポートする総合行政情報システム「WebRings(ウェブリングス)」を販売しており、今後の需要拡大が見込まれている。これは、業務間のシームレスな連携の実現はもとより、セキュリティーの確保を行いつつ各種機関との連携を支援するとともに、マイナンバー制度の導入に必要な個々人の情報の共通管理を実現するというもの。

情報提供:日刊株式経済新聞


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