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【経済】NYの視点:年内の利上げの確率低下、ドル売り


米連邦準備制度理事会(FRB)は9月の連邦公開市場委員会(FOMC)でゼロ金利政策の据え置きを決定した。声明では、経済、雇用は順調に改善しているとの判断ながら、世界経済、金融のイベントが「経済活動を抑制する可能性」や「短期的にインフレの下方圧力となる可能性」に新たに言及。今後、海外の展開を監視していく方針を示した。

FOMC後の記者会見で、イエレンFRB議長は結果的にFOMCの経済への見通しに「ほぼ変更はない」とした。一方で、新興国、特に中国の経済の鈍化懸念を名指しで言及。さらに、四半期ごとに発表される連邦公開市場委員会(FOMC)のスタッフ予測でも金利見通しが大幅に下方修正された。1人のメンバーは「2017年末まで利上げは適切ではない」との見通しを示し、2015年、2016年末の金利見通しでそれぞれ、「マイナス0.125%」を予想している。欧州諸国では一部の諸国がマイナス金利を導入しているが、イエレンFRB議長は記者会見において、「マイナス金利を議論したこともなく、今後、追加緩和を供給する可能性は少ない」と記者団の質問に答えた。

【FOMCスタッフ予測】
利上げ
年内:13人のメンバーが年内の利上げを予想(6月時点15人)
2016年:3人のメンバーが2016年の利上げを予想(6月2人)
2017年:1人のメンバーは2017年まで利上げは適切でないと予想(6月0人)

FF金利(平均)
2015:0.375%(6月0.625%)11人のメンバーは年末のFF金利が0.375%またはそれ以下と予想、1人は-0.125%を予想
2016年:1.375%(6月1.625%):1人は-0.125%を予想
2017年:2.625%(6月2.875%)
2018年:3.375%
長期:3.5%(6月3.75%)

しかし、政策、声明、金利見通しともに市場の予想以上にハト派的となった。年内の利上げを予想しているメンバーも6月時よりも減った。年内の利上げの可能性についての質問で、イエレンFRB議長は「依然、大半のメンバーが年内の利上げを予想している」との答えにとどめた。一方、ゼロ金利政策を維持する可能性も完全に排除していない。イエレンFRB議長は10月会合を含めて各会合で利上げを実施することが依然可能だとしているが、年内の利上げの可能性が一段と薄れた。

現時点から10月会合までに発表される新たな経済指標は非常に少なく、10月会合で連邦準備制度理事会(FRB)が9年ぶりとなる利上げを決定する可能性は非常に少ないと見られている。また、12月もフィッシャー米FRB副議長が先日、「ウィンドウドレッシング」などが活発化する12月の利上げは「避けたい」との意向を表明したとの報道もあり、年内の利上げの可能性がより少なくなった。従って、ドルは下落基調となる可能性がある。

《NO》

 提供:フィスコ

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