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【経済】NYの視点:市場、FOMCの利上げに備える


米連邦準備制度理事会(FRB)が開催する連邦公開市場委員会(FOMC)を控えて最後の主要経済指標となった8月の小売売上高は前月比0.2%増と、市場予想の前月比0.3%増を下回り6月以来で最低の伸びとなった。変動の激しい自動車を除いた小売は前月比0.1%増と、やはり市場予想の前月比0.2%増を下回りマイナスとなった4月来で最低の伸び。自動車やガソリンを除いた小売も0.3%増と、やはり市場予想の0.4%増を下回った。唯一、国内総生産(GDP)の算出に使用される食品、自動車、建材、ガソリンを除いた小売(control group)は0.4%増と、予想以上の伸びを示した。ただ、小売売上高は前年比で1.6%増にとどまっており、本年2月、4月、5月と同様、景気後退時の低調な伸びから脱することができずにいる。この結果は連邦公開市場委員会(FOMC)のメンバーの利上げへの十分な経済への自信にはつながらないと考えられる。

金融市場での9月の利上げ確率は依然30%に過ぎない。しかし、米国債券市場では土壇場になって、最も金利の上昇に敏感とされる短期債の利回りの上昇が目立った。米2年債利回りは0.80%まで上昇し、2011年4月以来の高水準を記録した。一部では株高に連れて安全資産としての米国債の売り戻しが優勢となったためとの見方もあるが、利上げが依然選択肢として考えられている証拠となる。金利に関する見通しが連邦公開市場委員会(FOMC)メンバーと市場との間で大きなかい離があったが、市場はそのかい離を埋めつつあり、潜在的な利上げに備え始めた。

《NO》

 提供:フィスコ

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