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【特集】TOKAI HD Research Memo(6):電力小売サービス事業への参入を新たな成長機会に


■今後の見通し

(2)電力小売サービスの開始に向けて

2016年4月の電力小売全面自由化に向け、TOKAIホールディングス<3167>は5月に東京電力<9501>と電力販売にかかる業務提携に向けた共同検討を開始すると発表し、電力小売サービス事業への参入に向け動き始めている。「Total Life Concierge」(暮らしの総合サービス)構想を掲げる同社にとって、電力小売サービスがメニューの1つに加わることは、成長機会につながるものとして注目されよう。

既に自由化されている産業用・業務用向けに関しては、2015年9月からLPガスなどを販売する既存顧客向けにサービスを提供していく予定となっている。また、家庭用に関しては2015年10月よりPRを始め※、2016年1月から契約変更のための「スイッチング」受付を開始する計画となっている。同社の既存顧客である254万件が当面の見込み顧客となるため、電力サービスと既存サービスをセットにした多様なメニューを提供することで、契約を増やしていく考えだ。
※毎年秋に、グループの大感謝祭を主要サービスエリアの展示会場で開催しており、これに合わせてPRを行う予定。静岡では土日の2日間で12万人の来場者数がある。

同社の強みは、新規顧客を開拓する営業リソースを持っていること(800名の営業マンで年間31万件の新規契約を獲得)、また顧客と直接コンタクトし、契約の維持、管理を行うなかで、顧客の属性に応じた様々な生活インフラサービスを提案できることにある。

2016年4月以降はサービスメニューの中に電力サービスが加わることで、新規顧客の開拓だけでなく、既存顧客の囲い込みもより一層進むものと期待される。電力小売サービスが収益に直接与えるインパクトは小さいものの、サービスメニューに加えることによる波及効果は大きい。

同社が現在抱える経営課題の1つに、1契約者当たりの複数サービス契約率が7%と低いことが挙げられる。複数サービス契約率の向上施策としては2012年に「TLC会員」制度を導入し、成果は少しずつ出てきているものの、まだまだ改善余地は大きい。同社では電力小売サービスの開始に合わせて、複数サービスのセットメニューなど新料金体系を提供していくほか、ポイント還元率の拡大など効果的な施策導入を進めていく予定で、これら施策の導入によって1契約者当たりの売上高拡大が進むものと期待される。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)

《HN》

 提供:フィスコ

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