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【特集】あらた Research Memo(7):売上高の拡大と収益性の向上で更なる成長を目指す


■今後の見通し

(2)中期成長戦略

あらた<2733>の2015年3月期からスタートした中期3ヶ年計画では、「次世代型卸商社」として更なる成長を目指していく基本方針を打ち出し、具体的な経営目標値として2017年3月期に売上高670,000億円、経常利益6,700億円、ROE6.0%を掲げている。目標を達成するためには、「売上高の拡大」と同時に「収益性の向上」が必要となるが、同社では以下のような施策を進めている。

○売上高拡大施策
売上高の拡大施策としては、販売地域・チャネルの範囲拡大、販売地域・チャネル内での取引シェア拡大、商材ジャンルの拡大が挙げられる。販売地域・チャネルの範囲拡大では、経済成長が進むアジアマーケットの進出、インターネット流通市場への展開、M&Aによる地域卸会社のグループ化などが考えられる。アジアマーケットへの進出では、2012年に上海に進出したほか、2013年にはタイにも進出した。

このうち上海については当初の計画を軌道修正し、取扱品目をペット用品に絞り、日系大手流通企業向けの卸販売を行っている。人員体制もスリム化し、固定費を削減したうえで事業の再構築を進めている段階にある。一方、タイでは2015年3月に現地の大手消費財企業であるサハグループと合弁会社を設立し、DHC化粧品の総代理店として、現地日系小売企業向けの卸販売を開始したほか、現地大型小売店舗向けの営業提案活動も開始するなど、順調に進んでいる。海外市場では当面、中国とタイの事業活動に絞って展開していく予定となっている。

販売地域・チャネル内でのシェア拡大施策では、卸会社としての本来のサービス機能である高い精度での物流サービスや付加価値情報の提供などを、顧客店舗と取引先メーカーの間に立ち最適化していくことで、互いの信頼関係をより強固なものとし、取引シェアの拡大に結び付けていく。

また、「売れる店舗づくり」に向けた取り組みも、子会社のインストアマーケティングや関連会社である電通リテールマーケティングなどと連携して推進していく方針で、顧客店舗の売上アップを支援していく。

商材ジャンルの拡大施策としては、今後成長が見込まれるシニアマーケットにターゲットを絞った商品の取り扱いを強化していくほか、前述したPB商品である「アドグッド」ブランドの商品開発をさらに強化し、売上拡大につなげていく。「アドグッド」ブランドでは、市場トレンドを先読みし、ニーズに合致した「本当に求められている商品」の開発を行っていくことを基本方針としている。

○収益性向上施策
収益性の向上施策としては、前述したように顧客ごとの収益管理を行っていくことでの売上総利益率の改善や、物流コスト及び間接コストの低減がある。物流コストの低減では、拠点の再編による効率化を進めており、2014年3月期に中部エリアで大型物流拠点となる江南センターを稼働し、近隣の物流センターを集約化したほか、2015年3月には北上センターを稼働させている。当面は大型物流センターの開設は予定していないものの、中期的には関東エリアや中国・四国エリアに関しても物流拠点の見直しを視野に入れており、更なる物流コストの低減が期待される。

一方、間接コストの効率化に関しては、各支店で行っている経理業務や受発注、仕入業務などの集約化を進めていくことでコストの圧縮を図っている。事務処理センターに関しては来下期から現在の7拠点を4拠点に集約し、業務生産性を10%程度改善することを見込んでいる。また、人員に関しては引き続き採用を抑制していく方針で、自然減により全体の人件費も漸減傾向が続く見通しとなっている。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)

《RT》

 提供:フィスコ

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